吃逆(しゃっくり)は突然起こり、止めようと思えば思うほど出てくる厄介なものです。なかなか止まらず、人知れず苦しんでいる人も意外と多いのです。医学的には2種類の原因があると考えられています。
中枢性のものと末梢性のものです。中枢性ものは、普段の生活をしていれば、生じることは概ねありません。中枢性の原因として、腫瘍、脳梗塞、薬剤等による呼吸抑制が挙げられます。
医療に携わっている人であれば、鎮静剤を使った検査をするときに軽度の呼吸抑制を来した患者さんに薬剤原性の吃逆を見たことがあると思います。呼吸抑制が改善されると、症状は速やかに改善されます。
末梢性の場合、原因として、横隔神経の過剰刺激による横隔膜の急激な収縮があげられます。横隔膜が急激に収縮すると、胸腔内が突如陰圧になり、空気が肺の中に急激に流れ込みます。その際に、発声を司る声帯という部分が突然閉じるので、あのような音が出るのです。
横隔神経の過剰刺激の原因として、早食い、食べすぎ、飲みすぎがあります。暴飲暴食で、お腹がいっぱいになると腹腔内の圧が急激上がり、横隔膜の収縮が困難になります。簡単にいうと呼吸ができにくくなるのです。その影響で、横隔神経が刺激され、吃逆のような状況が起こると考えられています。
吃逆を民間療法で治す方法はたくさん知られています。大きな声をかけて驚かせる、コップの水を反対側から飲むなどです。両耳の穴を指で強く、一分近く押さえるといった方法もあります。いずれも、迷走神経という副交感神経を刺激する方法です。
これをすれば確実に治るという方法はありませんが、私は耳を強く押さえる方法で止めたことがあります。いずれの方法も効果がない場合は、医師に相談して薬を飲むという方法があります。
ただ、何日も止まらない場合や1カ月以上続く難治性吃逆になるケースもあります。呼吸困難や不眠などの合併症を伴うだけでなく、呼吸器、消化器や脳などに疾患を抱えて、それが原因となっている可能性もゼロではありません。また、私は治療したことがありませんが腫瘍が原因で吃逆が起こることもあるようです。症状が持続するようであれが、医療機関を受診して相談することをお勧めします。