大学を卒業し、ひとり暮らしを始めたタイミングで始めたルール「1カ月の食費=年齢×1000円」。年齢を重ねるほど贅沢ができる―。そう信じて、律義に守ってきたのに…。昨今の著しい物価上昇にまつわるエピソードに注目が集まっている。
「月の食費=年齢×1000円ルールを徹底してるんだけど、23歳から29歳になったのに、物価高の影響で飯のレベルが一向に上げられないのウケる」。自虐的に現状を投稿したのは、Xアカウント「一人旅研究会」(@hitoritabiken)を運営する栗原悠人さん。全国各地の秘境をめぐり撮影した郷愁風景がSNSなどで人気を集めている。
ひとり暮らしを始めた23歳から同ルールを自らに課し、今年で7年目を迎える。「社会人になってまとまったお金が入るようになりましたが、それに浮かれて浪費癖がついてしまったら駄目だと思い、質素な生活を強制するため導入しました」と当時を回想し、ルール導入の経緯を語った。
導入初年度は2万3000円(23歳×1000円)からのスタート。居住地や形態によるが、栄養をとりながら月の食費を2万円台に収めるのは、簡単ではない。もともと「食に興味があまりなく、料理にかける時間もかけたくないため、炊飯器を使うレベルの自炊もしていない」という栗原さん。「朝は唐揚げ、コンフレーク、牛乳、野菜ジュース。夜は卵かけ納豆ご飯、豆腐、ブロッコリーで統一することで、安定した価格と栄養価を確保しています」と不動のメニューで栄養と節約を両立させてきた。
住まいは栃木→北海道→千葉と移り、29歳となった現在、食費設定は2万9000円/月となり、初年度から6000円もアップ。本来なら、そのぶん食卓も豪勢になっているはずなのだが…。「少し前の物価なら、月2万9000円もあればだいぶ贅沢できたのですが…。世知辛いです」と嘆く。Xで公開した23歳と29歳時の食事を比べると、素朴なメニューが並ぶ光景はあまり変わらず。グレードアップしたといえば、食卓代わりの段ボールが、正真正銘の机に変わったくらいだ。
ネットでは「ルールを変えよう!」「物価上昇に応じて、ルールをマイナーチェンジされた方が良いのでは?」とルール改定を勧める声も。しかし、栗原さんは「物価高次第ですが、ルール変更で甘えるようなことはしたくないので、変更予定はありません」と妥協を許さない。一方で、ルールの今後については「5年前の物価なら40歳以降は一定額にしようと思っていましたが、インフレを全く考慮していなかったため、上限値を設ける時期は後ろになるかも知れません」と検討している。