転職サービス「doda」などを手がけるパーソルキャリア株式会社の調査機関「Job総研」はこのほど、20~50代の社会人男女543人を対象に「2025年ハラスメント実態調査」を実施。直近1年のハラスメント意識や勤務先での対策の変化に加え、職場での被害経験や解決について調査し、結果を公表した。
ハラスメントへの意識を聞くと、「上がった派」が88.2%で大多数を占めた。年代別では40代が93.5%で最多となり、次いで30代が90.9%、50代が87.5%、20代が84.4%だった。
ハラスメント対策では、「強化された」が59.3%で過半数を占めた。防止策の有無も「ある」が60.0%で半数を超えた。防止策ありと回答した人に対策内容を聞くと、「相談窓口の設置」が66.3%で最多。次いで「ガイドラインの周知」が52.5%、「ハラスメント研修・教育の実施」が49.7%だった。
回答者全体に、職場のハラスメント防止に必要な対策を聞くと、「明確なガイドラインの配布」が43.3%で最も多く、「匿名の報告・相談環境や制度(42.0%)」「管理職に向けた教育・研修(40.3%)」の順となった。
現職場の防止対策への印象を聞くと、「不十分だと思う派」が58.6%で、内訳は「対策はしているが十分ではない」が35.5%、「対策はしているが不十分」が23.1%となった。また、「パワハラ防止法」強化の必要性を感じるかを聞くと、「必要性を感じる派」が82.9%で大多数を占め、内訳は「とても感じる」が31.7%、「感じる」が24.7%、「どちらかといえば感じる」が26.5%となった。
職場でハラスメントを受けた経験を聞くと、過半数の55.1%が「ある」と回答。ハラスメントの種類を聞くと、「パワーハラスメント(パワハラ)」が73.2%で断トツに多かった。次いで「モラルハラスメント(モラハラ)」が31.4%、「セクシュアルハラスメント(セクハラ)」が26.1%となった。
ハラスメントの内容では、「個人を否定するような言動」が55.9%で最多となり、次いで「能力を否定するような言動(51.5%)」「精神的な攻撃や嫌がらせ(41.5%)」の順。また、職場ハラスメントへの対応を聞くと、「誰にも相談していない」が27.4%で最も多く、「社内の信頼できる人に相談した(23.7%)」「家族や配偶者・親族に相談した(22.1%)」と続いた。
被害経験ありと回答した人に、職場ハラスメントによる退職・検討経験を聞くと「ある派」が82.2%で大多数を占め、内訳は「退職をしたことがある」が47.8%、「退職を検討したことがある」が34.4%で、「ない」は17.8%だった。また、回答者全体にハラスメントが〝解決される〟ことはあるかを聞くと、「解決はないと思う派」が68.7%で過半数を占めた。
職場のハラスメントについての意識や対策・防止策は進んでいるものの、まだまだ不十分と感じている人は多い。誰にも相談せず、被害側の退職によって事態を収束させている現実もある状況で、一見落ち着いたと見える事案でも加害・被害の事実は変わらないため、本当の意味での〝解決〟に向かうことの難易度は高いと考えられる。今後、加害・被害を含めたハラスメントの事案をなくしていくためにも、日頃の〝予防〟に焦点を当てた対策の必要性があるといえる。