韓国映画関係者、観客数水増し疑惑を払拭 「映画振興委員会・警察は誠意ある謝罪を」と苦言も

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写真はイメージです(Pavel Losevsky/stock.adobe.com)
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 韓国の映画配給会社などが、観客数を水増しし、興行成績を操作しようとした疑惑が払拭され、検察から嫌疑なしの処分を受けた。疑惑を晴らした映画関係者たちは、これに対し、映画振興委員会(以下、映振委)と警察に謝罪を要求し、苦言を呈した。

 映画業界の約20の団体が集まって結成した、映画産業危機克服映画人連帯(以下、映画人連帯)は12日、「映画振興委員会業務妨害罪の容疑で検察に送致された映画関係者による、嫌疑なし処分に対する声明」という声明書を発表。映画人連帯は、「一部のメディアや政治勢力が提起した、映画業界の『観客数水増し』疑惑は、事実ではないことが明らかになった」「われわれはこの結果を、大変喜ばしく思う」と伝えた。

 2023年6月、ソウル警察庁反腐敗公共犯罪捜査隊は、ドキュメンタリー映画「あなたがチョ・グク」など、一部の映画の観客数を操作した疑惑について、大々的に捜査を行った。警察は当時、国内の映画館3社と、配給会社24社の関係者約70人を、観客数を偽り、映振委の業務を妨害した容疑で、検察に送致した。しかし、この事件に対して、ソウル西部地方検察庁は2月26日、関係者全員に「嫌疑なし」の処分を決定した。

 映画人連帯は、「一部の映画関係者が、映振委の映画館入場券統合電算網業務を妨害したという、警察の調査結果は、『映画およびビデオの振興に関する法律』の一部の条項を曲解したことによるものだった。その結果、多くの配給会社と映画館が、市場の秩序を乱したという汚名を着せられた」と、処分に関する経緯を説明した。

 また、「問題となった映画のうち、『あなたがチョ・グク』は、一部の政治勢力やメディアから、観客数を水増しした代表的な映画として扱われた。しかし、本作に対する疑惑や操作は、クラウドファンディングに対する理解の不足と、政治的な意図が結合したことによる、不当なものだった」と付け加えた。

 クラウドファンディングは、海外でもよく活用されている資金調達システムで、インディーズ映画や芸術映画の制作や配給の投資金を調達するための、重要な手段として活用されてきた。通常、クラウドファンディングに参加した支援者は、資金を援助し、映画の制作と配給に寄与した対価として、映画の鑑賞券を支給される。

 映画人連帯は、「『あなたがチョ・グク』も、クラウドファンディングを通して集めた資金で、正常なプロセスに基づいて鑑賞券を発券し、これを映振委の統合電算網にそのまま反映した。これは正当な処置であり、『観客数水増し』という主張は、クラウドファンディングの本質を歪めるもの」だと指摘。

 また、「『嫌疑なし』の処分を受けて真実が明らかになったが、配給会社と映画館の関係者は、これまで精神的、物理的な被害に耐えてきた」「一部の政治勢力やメディアは、誤った疑惑の提起により、表現の自由と文化芸術の多様性を侵害したことを認め、誠意ある謝罪をすべき」だと批判した。

 さらに、「この事件は、映画業界に対する無責任な政治的攻撃であり、憲法が保障する芸術の自由と職業選択の自由に対する、重大な反発であった」と判断し、映振委と警察に、責任ある対応とともに、実際に市場を揺るがしている不公平な行為に対する徹底的な調査を求めた。

 今後については、「今回の決定を機に、関係者の名誉が回復されることを願うとともに、文化芸術の多様性や表現の自由が、さらに発展するきっかけになることを望む」とし、「二度とこのような不当な事件が起こらないよう、全員が気を引き締め、文化芸術の自由と多様性を守るために、ともに努力するべき」だと主張した。

 映画人連帯には、韓国芸術映画館協会、韓国映画プロデューサー組合(PGK)、韓国映画撮影監督組合(CGK)、韓国映画製作家協会、韓国映像メディア教育協会、韓国シネマテーク協議会、韓国シナリオ作家組合(SGK)、韓国美術監督組合(PDGK)、韓国独立アニメーション協会、韓国独立映画協会、地域映画ネットワーク、全国映画産業労働組合、全国独立映画専用館ネットワーク、映画祭政策の集い、映画輸入配給社協会、女性映画人の集いなどが属している。

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