Netflix「1話あたりの出演料が高すぎると思ったら」業績悪化→逆転劇!でも高額出演料は諸刃の剣

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Netflixコリアのオリジナルシリーズだけでも、ドラマと映画を合わせて50作以上。未公開分を含めるとさらに上回る作品数だ(出典:Netflix SNS)
Netflixコリアのオリジナルシリーズだけでも、ドラマと映画を合わせて50作以上。未公開分を含めるとさらに上回る作品数だ(出典:Netflix SNS)

 韓国を代表するコンテンツ制作会社「スタジオドラゴン」の昨年の売上と営業利益が、前年から大幅に減少した。それでも、Netflixなどの新作先行販売の比重拡大や配信サービス、グッズ販売などの関連事業を基盤とした売上が大幅に増加し、第4四半期で〝防衛〟に成功。数十億ウォン(数億円)にもおよぶ支出に耐え抜きながら続けてきた、スターを起用したマーケティングが「諸刃の剣」として、作用したと分析されている。

 スタジオドラゴンは2月中旬、決算発表を通して昨年の売上が5501億ウォン(約550億1000万円)、営業利益が364億ウォン(約36億4000万円)を記録したと伝えた。

 これは、前年と比較してそれぞれ27%、34.9%減少した数字だ。ただ、第4四半期に関しては、営業利益が54億ウォン(約5億4000万円)で、前年の同時期(営業利益38億ウォン/約3億8000万円)に比べて大幅に増加、黒字となった。

 第4四半期を黒字に導き、営業利益を支えたのは「新作先行販売」だった。スタジオドラゴンは、「昨年の営業利益が減少した理由は、前年に比べて、年間の制作エピソード数が40%減少し、メディア業況が不振だったためである」とし、「新作の先行販売比重を、前年比23.9%増やし、ラインアップ減少の影響を最小化した」と説明。さらに、「第4四半期の新作エピソード全てを、配信サービスやテレビ局のチャンネルに先行販売し、制作費の効率化を図ることで収益性を上げ、黒字への転換に成功した」と付け加えた。

 新作の先行販売は事実上、俳優の〝知名度〟により決定され、海外で認知度の高い主演俳優の出演有無が、先行販売の成功に直結する。業界関係者によると、「主演俳優の海外での認知度が重要なので、企画やキャスティングの段階から、海外営業チームのスタッフが会議に参加して、キャスティングについて助言している」という。

 このような状況により、制作会社も1話あたり数億ウォンにおよぶ俳優の出演料を、泣く泣く受け入れているのが現状だ。スタジオドラゴンの場合も、昨年放送されたドラマ「涙の女王」の制作費のうち、俳優の出演料が相当な割合を占めていると、当時メディアで報じられた。主役級俳優の出演料は、1話あたり3億~4億ウォン(約3000万~4000万円)にもおよび、制作費の一部が、第3四半期の業績にまで悪影響を与えた。

 しかし同時に、第4四半期の収益性維持に寄与したのも、「涙の女王」だった。配信サービスでの公開や、韓国、日本、フィリピン、台湾で行われたポップアップストアが人気を博し、単一コンテンツとしては、歴代最高となる事業売上を実現。実際、スタジオドラゴンは配信サービス、グッズなどの関連事業を基盤とする、その他の売上が、前年に比べて61.2%増加したと伝えている。

 俳優の出演料が、受け入れざるを得ない諸刃の剣として作用し、その他の領域では、経費削減が求められる。スタジオドラゴンも制作費の効率化のため、昨年の下半期から、制作費のデータベースを構築し、実費精算を拡大した。今年は、制作する作品のほとんどに、実費精算システムを適用する方針だ。

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