元TBSワシントン支局長で、ジャーナリストの山口敬之氏が、ツイッター(現X)で名誉を傷つけられたとして、れいわ新選組共同代表の大石晃子衆院議員を相手に880万円の損害賠償とツイートの削除、謝罪文の掲載などを求めていた訴訟で、最高裁第一小法廷(安浪亮介裁判長)が6日付で、山口氏の上告を棄却した。
山口氏の請求を棄却した2024年3月の東京高裁判決が確定した。大石氏は7日、Xを更新し「しゃあああああ」「最高裁で決定、大石完全勝利 みなさん応援ありがとう」などと報告した。
山口氏側は、2019年12月19日に大石氏がつぶやいた「伊藤詩織さんに対して計画的な強姦を行った」「1億円超のスラップ訴訟を伊藤さんに仕掛けた、とことんまで人を暴力で屈服させようとする思い上がったクソ野郎」などのツイートが、名誉毀損にあたるとしていた。
一方、大石氏側は「事実に誤りがない限り、論評は自由。いずれのツイートも公正な論評である」として、請求棄却を求めていた。
2023年7月の一審判決では「2つの記事について、1件は真実で不法行為とならない」としながらも「思い上がったクソ野郎」としたツイートは「人身攻撃に及んでおり違法で、名誉毀損が成立する」として、大石氏にツイートの一部削除と22万円の支払いを命令。双方が判決を不服として控訴していた。
東京高裁の判決では「クソ」という言葉が直ちに人糞を意味するとは解されず「クソじじい」や「クソまじめ」、「クソ忙しい」などののしりや強調の意味で用いられるとして「『クソ野郎』という表現は、いさささか品性に欠けるきらいがあるものの、他人に対する最大限の侮蔑表現であるのかは、疑問を差しはさまざるを得ない」と指摘した。
さらに「『クソ野郎』との表現部分を含む記載部分については公共性及び公益目的が認められ、前提となる事実について真実であることの証明があり、意見ないし論評としての域を逸脱したとはいえないことにも照らすと、『クソ野郎』との表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為に当たるまでとはいえない」とした。
大石氏は、控訴審判決後の会見で「クソ野郎っていう表現が、誰に対しても言っていいわけではない。伊藤詩織さんに対し、性加害を行ったっていうことに対して、その伊藤さんに1億円を超えるスラップ訴訟を提起しかけたことに対してクソ野郎と強い言葉で非難したのであって、一般の方を捕まえてクソ野郎と言ったわけではない」と真意を説明していた。