類人猿は人間と同じように心を読むことが可能だという。他者の考えていることを理解する能力は人間が3歳から使い始めるとされる複雑なスキルだが、ボノボも人間の心を読みつつ食べ物を手に入れられることがこのほど判明した。
米アイオワ州に生息する3頭のボノボ、カンジ(43歳)ニョータ(25歳)、テコ(13歳)が研究者と協力しながら、ブドウ半分、リンゴの塊、ピーナッツ、チェリオスを獲得する実験が行われた。食べ物は別の研究者によって3つのカップのどれか1つの中に入れられ、研究者自身は目の前の透明及び不透明なガラスの障壁で、どのカップに隠されているのかがわかっている状態とわからない状態の条件を設定していた。
研究者が食べ物を見つけると、向かいにいるボノボはそれを食べることができる協力関係が築かれていた。そして、ボノボは隠されたカップを知らない研究者が食べ物の入っていないカップを見ている時に、指差しで教える頻度が29%上昇し、差す速さも約1.5秒早くなることが明らかとなり、「相手の無知」を読んだ結果となった。
ジョンズ・ホプキンス大学で実施された研究を指導したクリス・クルぺニ博士は説明した。「互いの知識のギャップを感じ取る能力は私たちの最も洗練された社会的行動の核であり、協力しコミュニケーションし合い、戦略を取り合う方法の中心であります」「この心の理論と呼ばれるものは、教えや言語など人間たらしめる能力によって支えられており、多くの人は動物には備わっていないと考えています」「しかし今回の研究はヒトと他の類人猿に共通する豊かな精神的基盤があることを証明しているのです」