月の表面は、45億年前に仮説上の天体「テイア」が地球に衝突した際に溶けた破片から形成されたというジャイアント・インパクト説が、長い間有力とされてきた。しかし、このほどドイツのゲッティンゲン大学の研究で、月の表面が地球のマントル(地殻の下にある摂氏3700度に達する層)の物質でできていることが示唆された。
同大学の研究チームは、月と地球の岩石を比較した結果、テイアが衝突した際に月という衛星が同じ物質から形成されたと信じるに至ったとしている。
研究を指導したアンドレアス・パック教授は話した。「一つの説明としてテイアは以前の衝突で岩石質のマントルを失い、金属製の砲弾のように初期の地球に衝突したというものがあります」
「もしそうであればテイアは今日、地球のコアの一部であり、月は地球のマントルから放出された物質から形成されたことになります。そうであった場合、地球と月の組成が似ていることも納得がいくのです」