リドリー・スコット監督は、「ブレードランナー」の興行的失敗について「産業スパイ」が理由と考えているという。1982年公開のハリソン・フォード主演の同作だが、商業的に成功しなかった原因についてスコット監督は、「ザ・ニューヨーカー」誌の映画評論家ポーリン・ケイルのような人物による酷評を挙げたかたちだ。
「ハリウッド・レポーター」誌の座談会インタビューでスコット監督は「産業スパイの領域さ。公開される前に破壊するというね。ケイルはポッシュ(上流階級のような気取った、の意)極まりない『ザ・ニューヨーカー』にそれを書いた」とコメント。「私はイライラして、というか激怒だ。『そんなに嫌いなら無視してくれ』って伝えた。返事は来なかったよ」と振り返った。
そんな同作は公開当初こそ評判は良くなかったものの、時を経てサンタモニカ国際映画祭で脚光を浴びカルト作となる。
スコット監督は「約10年後のサンタモニカ国際映画祭で発見されたんだ。公開時に1人か2人熱狂的なファンがいたのさ」と続けた。「彼らはワーナー(ブラザース)にプリントを求めたけど、向こうはネガを紛失していた。引き出しの中から取り出して、見もせずに映画祭に送ってきたんだ」「ナレーションが除かれヴァンゲリスとジェリー・ゴールドスミスが少し入っていた。それが放映されたことですべてが再燃した。ハリウッドの狂気さ」と語った。
ショーン・ヤング、ダリル・ハンナ、故ルドガー・ハウアーも出演する同作はハリソン演じる特殊警察官リック・デッカードが「レプリカント」と呼ばれる人造人間を追跡する姿を描いている。
2017年にはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による続編「ブレードランナー 2049」が公開された。ハリソンがデッカード役で再登場し、ライアン・ゴズリング、アナ・デ・アルマス、ジャレッド・レトらが出演した。「エイリアン:コヴェナント」のスケジュールで監督こそできなかったスコット監督だが、同作では製作総指揮を務めていた。