兵庫県の斎藤元彦知事を巡る告発文書問題について、昨年8月20日に行われた同県議会の「警察常任委員会」で、県警の担当者は「現状では、公益通報としての受理には至っていない」としていた。委員会の様子はYouTubeなどでも公開されている。
常任委員の黒田一美県議の質問に対して、県警の藤森刑事部長は同年3月15日に文書が郵送で届いたと明言。文書を公益通報の「外部通報として受理しているのか?」と質問されると「当該情報提供が公益通報者保護法に規定するところの公益通報に当たるか否(いな)かにつきましては、個別に検討した上で判断しているところでございます」と前置き。続けて「今回の文書につきましては、記載内容や匿名の文書であることなどを総合的に考慮した結果ですね、現状におきましては、公益通報者保護法第3条第2項に定めるところの公益通報の受理には至っていないところでございます」と説明した。
亡くなった元西播磨県民局長が文書を出したことを認めており、すでに「匿名」ではなくなっているという指摘も。これに藤森刑事部長は「匿名であるということだけで判断をしたというわけではなく、記載内容やこの文書の性質といったようなものを含めてですね、総合的な判断をしたということでございます」と匿名だけが理由ではないと回答した。公益通報かどうかにかかわらず、犯罪に関する情報が寄せられれば「証拠に基づいて必要な活動を行っている」と付け加えた。
黒田氏は「犯罪性があるということやったら、やっぱり、しっかりと捜査をお願いしたいと思います」とコメント。続けて「数々の刑法違反があるのではないかと思います。告発文に明記されている中だけでもですね、公職選挙法違反、地方公務員法違反、収賄罪、公金横領、公費の違法支出という指摘があります。やっぱり捜査当局、県警が動く必要があると思いますけどどうでしょうか?」と投げかけた。
藤森刑事部長は、個別の事案に対しての警察の対応については「お答えを控えさせていただきます」とした。続けて「一般論として」と前置きし、「犯罪が有ると思量する時には、法と証拠に基づいて必要な捜査を行っているところであるという状況でございます」と説明した。
黒田氏は「知事が取った措置はですね、公益通報者保護法に『(通報者の)不利益な扱いは禁止されている』とうたわれているんですけれども、実際に処分をされたわけです。公益通報者保護法違反とわたしは考えますが、いかがお考えでしょうか?」と斎藤知事の行動の違法性について県警側に確認。藤森刑事部長はこれに対しても「個別事案についてのお答えは差し控えさせていただきたいと考えております」と回答した。最後は「あくまでも現時点の判断」とし、状況によっては、取り扱いが変わる可能性も含ませた。