インドの伝統的な打楽器「タブラ」奏者のザキール・フセイン氏が死去した。73歳だった。世界最高のタブラ奏者のひとりに数えられ、ザ・ビートルズの故ジョージ・ハリスンやヴァン・モリソンとの共演でも知られるフセイン氏が、特発性肺線維症と慢性肺疾患のため、サンフランシスコの病院で亡くなった。
遺族は16日の声明で次のように語っている。「教師、指導者、教育者としての彼の数々の作品は、数え切れないほどのミュージシャンに忘れがたい足跡を残しました。彼は、次世代のさらなる前進のためにインスパイアすることを望んでいました。彼は文化大使として、また史上最も偉大な音楽家のひとりとして、比類なき遺産を残しました」
北インドの古典音楽ヒンドゥスターニー音楽を演奏するタブラのパイオニア、アラ・ラーカの息子としてムンバイで生まれたフセイン氏は、ギタリストのジョン・マクラフリンと70年代に結成したフュージョン・グループ「シャクティ」のメンバーとして、西洋とインドのジャズ・スタイルを融合させたことでも知られる。
フセイン氏はグラミー賞を2009年、さらには今年と計4回受賞したほか、1990年にはインド政府からサンゲット・ナタク・アカデミー賞、1999年には全米芸術基金(NEA)からナショナル・ヘリテージ・フェローシップを授与されるなど数々の栄誉に輝いた。
ジョージ・ハリスンの1973年のアルバム「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」に参加したほか、ヴァン・モリソンやアース・ウィンド・アンド・ファイアーのアルバムでも演奏している。
また作曲家としては、フランシス・フォード・コッポラ監督の「地獄の黙示録」、ベルナルド・ベルトルッチ監督の「リトル・ブッダ」などの映画に楽曲を提供した。