韓国・仁川国際空港 芸能人の専用出入り口案→「特別待遇」批判受け撤回に異議、利用客の安全対策では

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※画像はイメージです(出典:AdobeStock/juancajuarez)
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 韓国・仁川(インチョン)国際空港公社は、事前申請者に限り、芸能人専用ゲートを運営すると対策を打ち出したが、国政監査およびメディア報道により提起された、さまざまな意見を考慮し、「施行予定であった『多衆密集状況誘発の恐れがある、有名人の専用出入り口使用手続き』の施行を取りやめる予定」であると明かした。施行前日に下した決定だった。

 この事態について、韓国メディア「テンアジア」の記事を翻訳して、紹介する。

 この撤回決定の背景には、芸能人が空港で専用出入り口を使用することが、「特別待遇だ」と批判されたことが、要因の一つとなった。ネットユーザーからは、「芸能人がそんなに偉いのか」「有名人の基準は誰が決めるの?」などの批判的な声が上がり、また施行計画公文書を受け取ったのが、大手芸能プロダクションだけだったという点でも、公平性が問題視された。

 芸能人が出入国する際、多くの人が空港へ押し寄せる状況は、これまで数えきれないほど、多くの安全問題を引き起こしてきた。不特定多数の人々が集まる状況で、群衆事故などが発生する可能性がある上に、テロなどの危険にもさらされる。

 そのため、芸能人の専用出入り口の使用は“特別待遇”というよりも、“空港利用客”のための安全対策と見なすべきではないだろうか。海外の空港では実際に、安全のために有料で非公開の出入国審査を受けられるなどのサービスがある。芸能人でなくても、有名人が空港に現れれば、空港の保安全般において、制御不能な状況が発生する可能性があるからだ。

 もし、空港でのチェックイン前から利用できる「ファストトラックサービス」自体が、有料で提供されれば、一般人も利用できるという点で、公平性に関する問題は解決される。また、保安区域から専用の通路を利用するというグレードのファストトラックと、チェックインも別で進められる、ハイグレードのファストトラックサービスに分けて提供するという方法もある。前者は、実際に多数の国際空港で、ビジネスクラス以上の乗客に提供されているが、仁川空港では、これすらも「特別待遇だ」と問題視され、導入に至っていない。

 去る6月に、仁川国際空港公社が、邦人・外国人の出国客2500人を対象に、これに関する意見を募った結果、70%以上が、サービスの有料化に「賛成」であった。需要もあり、実際に利用客からの要望もあるにもかかわらず、実施に至らないのは「空港公社が、韓国大衆の目を気にしすぎている」と指摘される理由だ。

 同月、CRAVITY(クレビティ)の警護スタッフが、10代のファンに暴行を加え、脳震とうを負わせた。翌7月には、俳優のビョン・ウソクが空港を利用する過程で、警護スタッフが一般利用客にまで過剰な対応を行ったとして、警察の捜査にまで発展。これをきっかけに、ようやく「芸能人空港警備問題」が社会的に注目され始めた。どちらも、危険を回避するための過剰な警備が引き起こした事態だ。

 全てのことを、嫉妬や他者への不満で解釈すべきではない。有料でサービスを提供すれば、空港の収益にもつながる。何より、空港利用客には、安全に空港を利用する権利がある。突然押し寄せるファンの群れにより、迷惑を被ったという、一般利用客の不満も少なくない。プライベートジェットを利用する海外スターに比べれば、韓国芸能人の専用出入り口が「贅沢すぎる」と評価するには、忍びないレベルだ。

 しかし残念ながら今回も、安全に関する問題が根本的に解決されないまま、事故の危険性を残すこととなった。

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