「子供のころからホラーが好きでした。R・L・スタインという作家の鳥肌が立つような作品を読みました。『アー・ユー・アフレイド・オブ・ザ・ダーク?(暗闇が怖いか?)』というテレビ番組は子供向けでしたが、大人でも怖い描かれ方をしていて、私に影響を残しました」
少女時代に課外活動として演技を始め、並行して音楽とダンスを学んだ。大学では作曲を学び、それから演劇と映画を学ぶコースへと進路変更。演技を通して映画を学び、短編映画の制作にも取り組んだ。予算編成などプロデューサーの勉強にも取り組み、卒業後は実際に制作に関わる中で、活動の幅が広がっていった。
監督、役者、プロデューサーとして関わり続けるホラー映画。「自分が関わる作品には、どうしても意見を言いたくなります。もうちょっとサスペンスを入れたら効果的では、十分に残酷に描けてるか、怖いか、血の色はこれで良かったのか、とかね。好きなので他のホラー映画もよく見ます。参考にすることもありますが、次はこうなる、こう撮影している、と分かってしまうんですよね」と語った。
ホラー映画界では少数派という女性監督。「女性的な視点から言うと、シンデレラを通して『王子の存在と舞踏会に行くことは一筋の希望』と、女性は刷り込まれている側面があります。人生の二大イベントは卒業式と結婚式という意識が私にもあるので、今作の舞踏会の演出に生かせたのは、女性だからかもしれません。あと、王子のひどいキャラクターを考える上で、女性の視点は役に立ったように思います」と語った。
役者として出演した「くまのプーさん」をモチーフにした「プー2」、今作の「シン・デレラ」のように、パブリックドメイン(著作権フリーのコンテンツ)の新作は、今後も予想されるところだ。ルイーザ監督は「美女と野獣」に照準を定めているという。「野獣がひとりで城に住んでいる、これだけで怖い。森に迷い込んでいく娘の旅を起点に、いろいろ遊べそうですね。ホラーの要素が既にあるので楽しそう」と笑った。
最後にオススメのホラー作品を質問すると、映画「クライマックス」(2018年、キャスパー・ノエ監督)を挙げた。「純粋にホラーとは言えないかもしれないですが、音楽もキャスパー・ノエが担当していて、ハート・ビート(心音)がだんだん速くなっていくんですよ。自分が一緒に体験しているようで、主人公がその場を離れない限り、観客もその場にとどまっていないといけない。とてもクレバーでよくできた映画です」と語ったルイーザ監督。日本の観客に向けて映画「シン・デレラ」を「あまりシリアスに考えず、楽しい作品ですので、血と残忍さをエンジョイして、予想もしない展開を期待してください」と呼びかけていた。
【「シン・デレラ」あらすじ】昔々あるところにシンデレラという美しい娘がいました。継母と義理の姉たちによる虐待に苦しんでいたある日、庭で見つけた不思議な本を読んだ彼女の前に魔法使いの〝フェアリーゴッドマザー“が出現。「舞踏会で王子様と踊りたい」と願ったシンデレラは、魔法の力によって憧れの王子とダンスをする夢が叶います。ところが王子や継母たちは舞踏会に参加している人々の前で、シンデレラのドレスを剥ぎ取り、全裸にして嘲笑、辱めの限りを尽くしたのです。その瞬間「復讐したい」と願ったシンデレラはガラスの靴を凶器に変え、邪悪な人間どもを残虐な手段で次々と血祭りにあげていく―‼