防犯グッズであるU字ロックを3組使用し、製作された椅子(スツール)が話題となっている。
バイクや自転車の盗難防止に使われるU字ロックは、シンプルな構造ながらチェーンなどに比べ接合部が無く、高い盗難防止効果が特徴。そんなU字ロックの丈夫さを利用し、組み合わせて椅子を制作したのは、関西を拠点に活躍するデザイナーの塚本裕仁さん。詳しく話を聞いた。
――アイデアの由来は?
塚本:ホームセンターや雑貨店を目的なく徘徊するのが好きで、ふと大型バイク用の巨大なU字ロックが目に留まりました。
こんなに大きいサイズもあるのか!?と驚き、これで何か作れないかな?と考えました。最初は照明やテーブルなどの案もあったのですが、折角ならU字ロックの最大の特徴である「強度」を活かしたアイテムの方が良いと考え、スツールにしました。パッと見た感じ華奢なのですが、実際に座ってみると安定感があるんですよ。
――こだわりは?
塚本:U字ロックの棒部品とU字部品を互い違いに組み合わせた構造です。U字ロックをたくさん買って色々試行錯誤している時に、互い違いに組むことで自立することに気がつき、その構造をそのままスツールとして活用しました。天板はU字ロックと調和しつつ、その構造がしっかり見えるようグレースモークのアクリル板にしました。
――ベンチにも展開できるとのことですが
塚本:今回作成したスツールは3組のU字ロックによって成り立っていますが、例えば6組に増やして天板を長いものに変えることで2人用のベンチにもなります。他にもU字ロックの数を増やして大きな円形に繋げることで、ローテーブルなどへの展開も可能です。
――失敗談は?
塚本:実はU字ロックと同時にラバーカップ(トイレのスッポン)にも注目していました。ラバーカップを使った家具を作ろうと色々試行錯誤していたのですが、思っていたよりもゴム製のカップ部分の吸着力が弱く(元に戻ろうとする力が強く)、なかなか形にならずお蔵入りとなりました。
――今後の展望、夢など教えてください。
塚本:本スツールのような柔軟でウィットに富んだデザインが得意なので、興味を持っていただけた方がいらっしゃれば、ぜひお仕事やプロジェクトなどでご一緒できれば嬉しいです。
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SNSでは「めっちゃいい」「耐久性の機能転用やロックの凸凹活用が気持ちいい」などの声が寄せられた。こちらの作品は2024年9月に開催されたデザイナー合同展示会「COMPOSITION」にて公開されたとのこと。防犯用具として生まれたU字ロックの新たな道に期待したい。
塚本裕仁(つかもと・ゆうじ)さんプロフィール
関西を拠点に活動するプロダクトデザイナー。日用品、インテリア雑貨、アナログゲームなどのデザイン・販売を行う。2024年Milano Design Week出展。主な受賞歴にGood Design Award(2022)、Shachihata New Product Design Competition(2022)など。
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