ジャンボタニシを一網打尽にする誘引剤「ジャンタニコイコイ」が話題です。
水田の稲を食い荒らし、農家の敵ともいわれるジャンボタニシ。今年は特に大量発生しており、佐賀県では初の「ジャンボタニシ注意報」が発令。
1匹が1年で産卵する数は約8000個とも言われ、繁殖力の高さも脅威的です。そんなジャンボタニシを引寄せ、一網打尽にする誘引剤「ジャンタニコイコイ」を開発したQUINT代表のタクジンさんにお話を聞きました。
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――ジャンタニコイコイ開発について教えてください。
タクジン:熊本大学で電気情報を専攻していて、今回は約2500種類の食品データから情報解析技術を使って誘引率を可視化し、食品の特定と成分の配向を出しました。
昔からジャンボタニシは米ぬかや酒粕が好物だと言われていたのですが、この「ジャンタニコイコイ」は成分を調整して、好む成分より多く含んだ餌になってるんですよ。持続性も約2週間。散らばっているのを拾うより、一か所に集まっているのをまとめて捕まえるほうが効率的ですよね。
――今年はさらに被害が深刻だそうですね。
タクジン:主に九州で研究をしてるのですが、皆さん困ってます。ジャンボタニシ、和名でいう“スクミリンゴガイ”は南アメリカ原産の外来種で、稲だけでなくレンコンやイグサなども食べてしまいます。統計的な被害調査は難しくてまだ大々的なデータは無いんですが、農薬などを使わずに稲作をした場合は、収穫量がゼロになるかも、と言われるくらい強烈な影響なんです。
――対策は難しいんですか?
タクジン:現在は田んぼの水量を減らす浅水管理や農薬、網やトングですくい上げる人的防除が主となってます。農薬は大雨が降ってしまうと濃度が下がって台無しになって、次の対策をとるまでに食べられてしまうし、こつこつ手で除去する作業は大変ですよね。一反あたり1~2時間くらい必要なので、経済的にも労働的にも負担が大きすぎます。
――ビールのおつまみとして食べている投稿も拝見しましたが、お味は?
タクジン:福岡県の響灘ビオトープに伺った際、普段田んぼではお目にかかれない大きいジャンボタニシが100匹くらい獲れたので食べてみました。
実は1度チャレンジしたこともあるのですが、2か月間も泥抜きをしたのに排水溝の味がして失敗。肝が臭いのでは?と思って今回はとれたてをそのまま30分煮沸し、肝を取り除いて塩水でカラカラになるまで炒めたら、美味しく食べられました。エスカルゴみたいな食感なので、アヒージョにすると美味しいかもしれません。
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SNSには「人類の叡智を感じる」「ノーベル賞モノでは」「予防と原因の排除ができるのはすごい」との声が。ジャンボタニシにお悩みの方はXのDMからお問い合わせくださいとのこと。人類vsジャンボタニシの闘いに一筋の光が見えました。
大学生起業予定集団 QUINT