半世紀も奮闘!群馬の山中にある昭和レトロ自販機コーナーが人気 唐揚げラーメン300円、うどんは特産麺

北村 泰介 北村 泰介
群馬県みどり市の山中にある「丸美屋自販機コーナー」。うどん、そばなど昭和のレトロ自販機が並ぶ〝聖地〟だ(C)日活・チャンネル NECO
群馬県みどり市の山中にある「丸美屋自販機コーナー」。うどん、そばなど昭和のレトロ自販機が並ぶ〝聖地〟だ(C)日活・チャンネル NECO

 昭和期から親しまれた麺類などのレトロ自動販売機。現在も稼働する自販機コーナーが「昭和の遺産」として各地に残っている。その一つで、群馬県の山中に存在する〝聖地〟がCS放送「映画・チャンネルNECO」の30分枠ドラマ「旧車探して、地元めし」の第11話(6月17日放送)に登場する。同所で食事をした出演俳優の升毅と鈴木砂羽の感想と共に、店主に話を聞いた。

 群馬県みどり市にある「丸美屋自販機コーナー」。うどん、そば、ラーメンが各300円。トースト(250円)やハンバーガー(350円)もある。麺類の自販機というと、出てきたカップ麺の蓋を開けて給湯すると思われがちだが、そうではない。湯通しされた生麺にツユと熱々の天ぷらなどが乗っているのだ。

 升は「そばをいただきました。自販機からポコンと出てきて、上には天ぷらが乗っている。大中小の〝当たり〟があって、エビ天だと大当たり。僕のは小さいかき揚げだったので、これは小当たりみたいです」と説明。ちなみに「中当たり」はカボチャやサツマイモの天ぷらだ。

 鈴木は「自販機から生のおそばと熱々のかき揚げが出るというのが驚きでした。(機械の)中でおそばをゆがいて、おだしを掛けて、天ぷらが乗っかってくる。面白いのが(出来上がりまでの)カウントダウンがあるんですけど、25秒くらいから始まって、『早いよね』と言ってる間にバーンと出てきて面白かった。そういうマニアックでニッチな感じがいいですね。ああいう所、大好きですよ」と好奇心を刺激されていた。 

 鈴木が「『唐揚げラーメン』も食べたかった」という一品も人気メニュー。ラーメンは唐揚げとチャーシューの2種類あり、他のメニューが昨年に50円値上げした中、値段を据え置きした。「当たり」で煮玉子、外れても、うずらの卵が付いてくる。さらに、パン食も充実。升は「ホットサンドにはチーズとハムがはさまってるんです」、鈴木は「トーストの自販機は初めて見ましたけど、すごく面白かった」と話は盛り上がった。

 国道122号線沿いに自販機コーナーが設置された1975年以来、24時間の無人営業を続けてきた。3代目店主の斉藤栄さんに話を聞いた。

 昨年の一部50円値上げは、消費税が導入された89年以来だったという。斉藤さんは「昔から守ってきた値段だから(うどん、そばは)ずっと250円でやりたかったんですけど、電気代が高くなって、苦渋の決断です。でも、ラーメンまで値段を上げたら、全部値上げになってしまうので300円に据え置きしました」と明かした。

 斉藤さんは「(地元特産の)ひもかわうどんを使っている自販機は日本中でうちだけだと思います。生麺からゆで、天ぷらは自分の所で全部揚げています。かき揚げが入っているのが普通のもので、当たりはエビか、さつもいもなど違うものがもう一つ入っている感じです」と補足した。

 モチモチ食感のご当地うどんなどを求め、全国からファンが訪れる。斉藤さんは「わたらせ渓谷鐵道の花輪駅から徒歩15分くらい。電車で来られる方も結構いらっしゃいます」という。

 来年で開業から50年。麺類やトーストなどの自販機が新たに生産される見込みはないが、斉藤さんは「今、うちにある機械が動いてくれているから、それを使ってなんとか営業しています」と踏みとどまっている。

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