66年前の「クラウンRS」をフルレストア トヨタ豊田会長も後押し「こういうときに金を使え!」

髙石 航平 髙石 航平
レストアされたトヨタの「クラウンRS」
レストアされたトヨタの「クラウンRS」

 オートサロン「オートモービル カウンシル」が12日から幕張メッセで開催。トヨタは展示会のテーマである「ヘリテージ(遺産、継承物)」を体現するように、1958年式の「クラウンRS」を自社工場でレストアしたモデルを公開した。

 レストアの責任者でもある河合満氏が登壇し「今は技術も設備も材料も進んでいる。当時そういうものがなかったときに、どうやってこれを作ったんだろうと。それをバラして見たときに、先人がどれだけ努力していたということが分かる。それが人材育成につながり、後世に伝わる」とその経緯を説明した。

 またこの事業は当初、豊田章男会長に伝えずに始まっていたが、河合氏から説明したところ「(大事なのは)そういうことだ!経理の部長はケチケチしているのでこういう時に金を使え!」と大喜び。完成後に早く乗れることを楽しみにしていたというエピソードも披露した。

 河合氏は「今後もロボットや自動化も進むが、ロボットが良いものを考えて作ってくれるわけではない。それをティーチングする人がうまいだけです。常に人が技能を進化させていくことが大事」と熱弁。トヨタ博物館の館長を務める布垣直昭氏も「自動化が進んでも、残すべき人の手の伝承は変わらない。ロボットも下手くそが教えれば下手くそですから」と補足した。

 加えて布垣氏は「ヘリテージ文化を継承していきたい気持ちはどこの会社もある。それがすぐにビジネスに直結するのかというと、期待の声にはこたえられないというのが正直な状況」と率直な現状を吐露。ただ社内でこのような旧車のレストアやクラシックカーのレンタルなどの事業が花開きつつあるということで「まずはこういう形で紹介。その反響が良ければもっと会社として力を入れていける弾みになる」と出展を決めた経緯も明かした。

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