誰もが一度は聞いたことがあるであろうアメリカの老舗バイクメーカー「ハーレーダビッドソン」。そのハーレーが2023年10月に「X350」、同系統の「X500」を販売開始した。発表当初から中型免許で乗ることができるという取っつきやすさや、見た目も「The・ハーレー」なクルーザータイプではなくネイキッド調。さらに同社製品の中では手を出しやすい価格帯で登場して話題になった。そこで新たな試みとも言えるXシリーズの販売とその意義、今後の展開についてハーレーの広報担当者にインタビューした。
―昨年10月にX350を発売した。中型帯で出したというところにどのような意義を感じていますか?
「ハーレーって今までもいろんな挑戦してきている。そのときそのときで新しいモデルというのは出しているので、ハーレーとしてそんなに不思議な事ではないんです。ただハーレーって存在自体がちょっと敷居が高いので、そういうところをよりいろんな人にハーレーライフを体験していただけるように間口を広げるという意味は一つあります。もちろん日本専用車両じゃないので、中型免許に合わせたわけではないんですけど。結果的には中型免許で乗れるハーレーというのは、ハーレージャパン史上、本当に1970年代には他のメーカーとコラボしたモデル(MX250など)はあったんですけど、それ以外でいうと本当に初めてのことですので。それが正規輸入として350ccでデビューできたというのは間口を広げる意味では大きいかなと思います。若者もそうですし、特に女性とかもですね。みなさんハーレーって知っているし、ハーレーのロゴが入ったTシャツとか着られていて。そういうなかでバイクとしてはちょっと敷居が高すぎると。その中で350ccで出せたこと、フルラインナップの中に出せたというのは間口が広がりますよね」
―Xシリーズの反響は大きいですか?
「おかげさまで初の中型免許で乗れるハーレーということですごく反響もいただいています。10月にデビューしてから、去年で言えば2カ月の間に予想以上の反響、X350とX500を合わせて1200台ぐらいの受注をいただきました。引き続きデリバリーを含めて受注をいただいている感じです。非常に好評をいただいています」
―クルーザータイプではなく、ネイキッドタイプで登場した意味とは
「特にX350のほうは、1970年代からずっと活躍しているXR750という伝説のバイクがありまして。フラットトラッカーという、土のサーキットを走るレース車両を模している。ハーレーとしては珍しい形と思われるかもしれませんが、実はハーレーの歴史の中のアイコン的な存在のイメージを落とし込んでいます。もう一つのX500はよりシンプルなんですけど、きちんとアメリカンなロードスターと言う形でデザインされています」
―X350、X500のエンジンはどのような形?
「エンジン自体は元々ハーレーはVツインというV型の二気筒なんですけど、X350とX500はパラレルツイン、並列の二気筒というところ。エンジンのベースとしては今までのハーレーのエンジンとは違いますが、設計の部分にハーレーのエンジニアが関わっていて。まずX350に関しては結構回るエンジンなので、スポーティーに街中を乗れるようなセッティングになっています。X500に関してはトルクに振っていて、どちらも快適に面白く楽しんでいただけるようになっています」
―今後も中型帯でのバイクは展開されていきますか?
「違うバージョンが出るという予定は、僕らも先の予定はわからないんですけど。ただ今後も350に関しては、ハーレーの間口を広げていくエントリーモデルの代表として、きちんとプロモーションしていく予定です。今後一つのカテゴリーとして改良されると期待しています」
―中型帯でハーレーの強みとも言えるクルーザータイプの発売はあり得る?
「僕にも分からないですけど、それにはかなり気合いを入れないといけないですね。ハーレーは世界観を売るのが仕事なので、常に憧れるブランドでいないといけないですから」
―2024年はツアラーモデルを売り出し中とのこと
「ハーレーと言えばツーリングというくらい、アメリカンツーリングをずっと作り続けているメーカー。より快適により遠くまで走るというモデルの象徴としてツーリングモデルが、ロードグライド、ストリートグライドに先駆けて、CVOというフラッグシップのレンジのモデルが改良されてきました。その中のいろんなシステムとか骨格が通常のロード、ストリートグライドのモデルに落とし込まれたということですね。今回のCVOからXまで登場したことでフルラインナップが出そろったという形ですね」
―特に変わったところ、見てほしいところはどこですか?
「もちろんデザイン面、LEDなどのデイライトを含んだデザインというのは、一目でロード・ストリートグライドとわかるデザインでありながら、全部一新されています。デザインは空力的なところも含めて、すごく快適性を高めながら一新されています。もう一つはパフォーマンスですね。動力性能としてはエンジンが今までのものをベースにしながら改良されて。改良はエンジンのパワーアップもそうですけど、冷却システムを改良して、人も快適になるようになった。あとはカープレイをつないでいただいて、スマホの中を音楽を聴いたりナビゲーションシステムをタッチパネルでできるようになっていますので。結果的に快適にツーリングするために改良されています」