年末、たまっていた用事を片付けようと電車でほうぼうに出向いていたのだが、忘年会帰りと思われる酔客の多さ、彼らの乗車マナーの悪さには難儀した。居酒屋の続きのような話を大声でわめく人、降車駅に直前まで気付かず慌てて周囲にぶつかりながら駆け出る人、座席に寝転がったり大股開きで座る人…etc。
そんな風景を横目に見つつX上をサーフィンしていたら興味深い投稿が目に入った。それはこばやし 'にらたま' けんいちさん(@Niratama)が
「携帯電話のマナーには言及しても座席のマナーについては言及しない件について」
と紹介するドラマ『信長協奏曲』(フジテレビ)の電車中吊り広告。
ドラマが放送されていたのは2014年のことなので、もうかなり古いものにはなるが、電車の座席に主人公の小栗旬さんら登場人物が大股開きだったり、草鞋をぬいで正座したりと思い思いのスタイルで座っているこの画像。思わず「端から詰めて座れよ!」とツッコんでしまったが、隅のほうに「携帯電話のご利用マナーにご協力ください」と書かれているのには苦笑した。
座席の座り方も携帯マナーもどちらも守られるにこしたことはないのだが、そう言えば近年は電車内のどんな行為が"迷惑"だと感じられているのだろうか。一般社団法人日本民営鉄道協会が毎年公開している「駅と電車内の迷惑行為ランキング」を調べてみると、2023年度の迷惑行為1位は「座席の座り方(詰めない・足を伸ばす等)」(37.1%)。ほか2位の「周囲に配慮せず咳やくしゃみをする」(33.5%)というのも時節柄を感じた。
一方、ドラマ『信長協奏曲』が放送された2014年度の迷惑行為1位は「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」(33.2%)。ほか「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」(24.7%)や「ヘッドホンからの音もれ」(24.5%)など騒音に関する迷惑行為が目立った。
ここ9年間で、迷惑行為の花形(?)は携帯・騒音から座席の座り方に大きくシフトしているということだ。何十年か生きていると9年前をそんなに昔とは思わないが、この間に人々の行動や意識がこうも変化しているというのは興味深い。こうした気付きを得られたのは怪我の功名というものか。
なおこばやしさんに話を聞いたところ
「車内の中吊りだったので、『そういえば座席マナーの掲示とか出ていたよな』というのがまず頭に浮かんで、左下に携帯電話のマナーについて書いてあったのが目について、『なぜそっちの注意書きを優先したんだろう』という疑問が湧いてきた感じでした。あくまで広告の演出上なのであの広告自体に座席マナーを追求するつもりはないですが、その温度差がなにか面白かったのです。
比較対象がどのへんからになるか次第ですが、実際のマナー全般は昔と比べたらだいぶ良くなってると思います」
ということだった。
読者のみなさんは近年の乗車マナーについてどのように感じているだろうか。
こばやし 'にらたま' けんいちさん関連情報
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