パスタを常温で5日間放置→死亡 海外SNSで話題の「チャーハン症候群」を医師が解説

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 ※写真はイメージです(lielos/stock.adobe.com)
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 「チャーハン症候群(fried rice syndrome)」という言葉が、海外のSNSを中心に話題になっているようです。調べてみると2023年の9月ごろからで、その内容がわかりました。医学的に言うと「セレウス菌(Bacillus cereus:BC)」を起因菌とした食中毒のことでした。

 セレウス菌というのはパスタやチャーハンなど、調理したあと室温で長時間放置することで増殖します。厄介なのは、セレウス菌が増殖して、いわゆる腐った状態になっても、見た目や臭いの変化がないこと、そして再加熱しても生き残るという点です。湿度が高い日本の衛生感覚から言えば当たり前でしょうが、お国柄の違いですね。

 「セレウス菌感染症」が、なぜ今になってチャーハン症候群としてSNSでトレンドとなっているのか。どうやら常温で放置した5日前のパスタを食べた20歳の男性が死亡したことが発端のようです。その男性は常温で5日間放置されたトマトソースのスパゲッティを食べたとのこと。

 しかし、「チャーハン症候群」という表現は正確ではなく、セレウス菌は米やパスタだけでなく、チーズ・肉・スープ・離乳食・果物・野菜などでも繁殖します。一般に、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛を引き起こし、発症は食後30分から最大15時間後になることもあります。ふつう短期間で治り、治療は水分補給のみですが、重症例には点滴することもあります。セレウス菌が作った毒素による食中毒なので、抗生物質の投与は効果ありません。

 30年ほど前の話ですが、私の先輩医師がWHOの依頼でエチオピアの国立病院を視察に行った時、地下の食堂で昼食を食べていたら、ハエが飛んできて、その先生の料理の上に止まったそうです。思わず手で払いのける先生に、エチオピアのドクターたちは「日本人はケチだな、少しはハエにも分け前やれよ」と笑ったそうです。病院の食堂でハエが飛んでいることも驚きですが、国によって衛生観念がこれほどまでに違うことも驚きです。

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