【漫画】孤独な17歳の売人が傷つきながらも音楽に救いを求める衝撃作! 極限の人間ドラマ 作者が語る

橋本 未来 橋本 未来

 大阪でドラッグの売人をしている主人公の大路雪人。借金を返済するため、危ない世界にズルズルと引き込まれていく中で、親友の言葉をきっかけにラップに救いを求めようとする。人生のどん詰まりであえぐ人々の中で、雪人はどのような人生を手にするのか──『スーパースターを唄って。』(ビッグコミックス)

 小学館が発行する漫画誌、「月刊!スピリッツ」で連載中の作品『スーパースターを唄って。』が今話題となっている。10月30日に発売された本書に帯文を寄せた千原ジュニアをはじめ、テレビ演出家の藤井健太郎や漫画家の真造圭伍からも絶賛され、早くも重版を記録した。

 そこで今回は、貧困と音楽を軸に極限の人間ドラマを描いた本作の作者である薄場圭さん(@usubane_)に取材を行った。また本記事には特別に第一話の一部を掲載する。

漫画家以外の仕事は向いてなさすぎる

 作者である薄場さんは現在25歳。漫画家の中には、幼い頃から漫画を描いてきたという人が多い中で、薄場さんが創作をはじめたのは19歳のときだという。「それまではこれといった活動はしていませんでした。19歳から描き始めて現在にいたる、という感じです。たぶん、この職業は向いていると思ったし、他の職業は向いてなさすぎると思ったので……」

 これまでは、第84回新人コミック大賞青年部門を受賞した『飛べない鳥達』のほか、『君の背に青を想う。』や『僕とお父さんについて』などの短編を中心に発表してきた。どの作品も、とりわけ若い世代の胸に迫る切ない内容が特徴で、もどかしさに共感を得る読者も多いだろう。

 本作についても、その特徴は同様だ。幼い頃に覚醒剤中毒だった母親と姉を亡くし、天涯孤独となった17歳の主人公が退廃的な人物や環境の中でもがきながら懸命に生きようとする姿を描く。「広義的な意味でのヒーローを描こうと思った」と話す薄場さんの言葉通り、血まみれになりながらも前を向き続けようとする主人公はまさにヒーローそのものだ。

 人間味あふれる登場人物や、胸に刺さるセリフが描かれる本作に一喜一憂しながら勇気づけられる読者も多いはず。閉塞感が漂い、居場所を見失いがちの今の時代にこそ、ぜひ一読してほしい作品だ。

<薄場圭さんInformation>
 
■エックス(旧Twitter)/
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