「ソウルの春」で観客を憤怒させたファン・ジョンミン 意外な理由で過去作「人質 韓国トップスター誘拐事件」が再上映

椎 美雪 椎 美雪
笑顔を見せるファン・ジョンミン((C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K & SEM COMPANY. All Rights Reserved.)
笑顔を見せるファン・ジョンミン((C)2021 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & FILMMAKERS R&K & SEM COMPANY. All Rights Reserved.)

 韓国では以前より「代理満足」という言葉が使用されているが、最近このワードが斬新な方法で使われているようだ。

 11月22日より、韓国では映画「ソウルの春」が公開された。同作は1979年12月12日、首都ソウルで起きた新軍部勢力の反乱と、これを鎮圧するための軍勢力による一触即発の9時間を描いた実話(12.12軍事反乱)をもとにした作品で、観客動員数は公開1カ月(12月12日付)で736万人を突破するという、大ヒットを記録している。

 劇中、クーデターを計画し反乱軍を支配した保安司令官、チョン・ドゥグァン(全斗煥)役をファン・ジョンミンが演じ、チョン・ドゥグァンと化した。チョン氏は当時〝戒厳司令部合同捜査本部長〟という肩書を利用し、合法的に中央の情報をはじめとする検察、警察、軍検察など全ての情報・捜査機関を指揮・統制して横暴を働いていた。

 この描写を劇場で実際に観た観客は物語にすっかり没入、ファン・ジョンミンのあまりにもうま過ぎる〝悪役〟の演技ぶりに怒りを覚えていく。ある劇場では、スクリーンに登場したファン・ジョンミンを見て怒りが収まらず、拳で彼の顔を殴って出て行ったという逸話まで登場したほどだ。

 そんなエピソードを耳にした映画配給会社NEWは、11日に公式SNSで「お探しの映画を持ってきました」とつづり、12月13日よりファン・ジョンミンが本人役で出演した映画「人質 韓国トップスター誘拐事件」(邦題)を再上映することを告知。「『代・理・満・足』再上映で会いましょう!」と予告した。

 同作は2021年に上映された作品で、新作映画の記者会見に出席したスター俳優、ファン・ジョンミンが突然拉致されるという事件が起こり、自身の演技力で犯人に立ち向かうという物語だ。

 「代理満足」というワードは、ダイエット中に食べている人の動画を見たり、行ってみたい国や土地を旅している人の動画を見たりすることで、心理的欲求を満たす事を目的に使われているようなのだが、今回に限っては「ソウルの春」で見るものを苦しめているファン・ジョンミンが、劇中で苦しめられている姿を見ることで、観客が心理的欲求を満たすという意を持たせている。

 思わぬ形で、自身の過去作が再びスクリーンで上映されることになったファン・ジョンミン。改めて演技者としてその実力が証明されるのであった。

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