テレビアニメ「邪神ちゃんドロップキック」の完全新作「邪神ちゃんドロップキック世紀末編」が、26日の放送を前に、通販サイトのAmazonで本編データがダウンロード販売(税別300円)されることが分かった。9日、同アニメ製作委員会が発表した。
購入した映像データはYouTubeにアップロード可能。配信チャンネル運営者は、さまざまな著作物の二次利用の管理・収益分配を可能にするKADOKAWAの「CSP(クリエイターサポートプログラム)」に参加することで、本編映像を配信し広告収入を得ることができるという。いわゆる”違法アップロード”を認めた形となる。製作委員会は「映像の入手方法は問いません。映像の購入方法や購入した商品の使用範囲については販売プラットフォームのルールに従って下さい」としている。
本来、アニメ側にとって〝敵〟である”違法アップロード”に塩を送る前代未聞の試み。同アニメ宣伝プロデューサーの柳瀬一樹氏は経緯について「『世紀末編』は熊本県高森町を応援するために作っているので、1回でも多く視聴されることが大切なのです。そのためにアニメの実況配信をしている皆さんや、違法アップローダーの皆さんにも作品を広めることを手伝ってもらいたいなと考えました」と説明。「どんどんアップロードして広告収入を得てほしいです」と呼びかけた。
続けて柳瀬氏は「今のアニメビジネスは海外を含む配信サービスにいかに高い値段で買ってもらえるかが生命線なのですが、YouTubeで無料で流れているものは高く買ってもらえないので普通はやらないです」と同企画の”異常さ”を解説。「邪神ちゃんはそこを諦めてでも、1回でも多くみてもらうことを目指します」と語った。
映像データはアクセスしやすさを重視し、低価格かつAmazonで販売する。柳瀬氏は「アップローダーの皆さんが映像をどこで入手しているのかは私にもわかりません。こちらができるのはなるべく多くの方法で映像をお届けすることだけです」とコメント。また、23日に都内で実施予定のイベント「世紀末フェス」で販売される「世紀末スクラッチ」の景品の1つに、「超高画質本編映像(音声なし)入りUSBディスク」が用意されるという。
「邪神ちゃん」はこれまでも「違法より早い切り抜き」「転売より安い販売」など、常識にとらわれないプロデュースで話題を呼んできた。今回の試みでも、アニメ界に新たな風を吹き込むことになりそうだ。
また、新作ではゲストキャラクター「ケンシロウ」が登場することも明らかになった。タイトルとの関連性にも想像がふくらむ。