アニメ「邪神ちゃん」違法アップロードを〝味方〟にし広告費回収 「狂っている」「頭おかしい」と話題

松田 和城 松田 和城

 アニメ「邪神ちゃんドロップキック」の第3期「邪神ちゃんドロップキックX」(邪神ちゃん)製作委員会が発表した、ネット上に無尽蔵に広がる違法アップロード動画の存在を逆手に取り〝合法〟と認めることで、同作の宣伝に利用する新施策が「狂っている」「頭おかしい」と話題を呼んでいる。

 製作委員会とKADOKAWA、ドワンゴは、KADOKAWAが提供する二次創作の管理・収益分配サービス「二次クリエイターサポートプログラム」(CSP)と、ドワンゴが運営する動画コミュニティサービス「ニコニコ」内のクリエイター向けポータルサイト「ニコニ・コモンズ」を利用し、アニメ「邪神ちゃん」本編の二次創作の管理を開始すると発表。「二次創作ガイドライン」に沿って、ユーチューブおよびニコニコで、切り抜き動画や解説・考察動画などの公開、収益化が可能に。製作委員会に収益の一部を分配した上で、収益を得ることができる。真偽は不明だが、某すしチェーン店の「海賊に仕事を提供することで撲滅させた」伝説から着想したという。

 「邪神ちゃん」は7月に、第1話で人気バーチャルシンガー・初音ミク登場シーンの違法切り抜き動画が、550万回以上も再生されたことをきっかけに、違法アップロードとの〝戦い〟をスタート。アニメ放送前に未放送の切り抜き動画を公式ユーチューブチャンネルに投稿する「公式にしかできない対策」を実施し、再生数で違法動画を上回った。一方で、「邪神ちゃん」宣伝プロデューサー・柳瀬一樹氏によると、中小サイズの違法アップロードは月間1000件以上発生していたという。柳瀬氏は「これらを発見し、逐一報告したとしても1円も得ることができない上、管理コストは無限に発生する状態。せっかくこんなに無料で、無尽蔵に邪神ちゃんが広がっていく力があるのであれば、それと戦うのではなくこれらを全て『邪神ちゃんの宣伝』という認識にすればよいのでは?と思いました」と〝敵との共闘〟を考案した。

 「邪神ちゃん」3期は全12話の放送が終了した9月30日に「二次創作ガイドライン」を発表した。切り抜き動画を含む二次創作動画投稿を奨励することで、放送終了後も話題が継続し、続編となる4期実現に向けて、同作の認知が広がることを願っている。柳瀬氏は今後、同様の施策を行うアニメ製作委員会の可能性について、「『邪神ちゃんモデル』だねって言われることが1番うれしいです。違法アップローダーを味方にすることも切り抜き動画で宣伝することも全部まねしてほしい。いくつかはうまくいくかもしれないです」と笑顔で話した。

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