南極にある世界最大の氷山「A23a」が、30年以上の時を超えて動き出したと、11月下旬に専門家が発表した。面積は約4000平方キロに及び、東京都の約1.8倍の大きさとなる。原因はまだはっきりとしていない。
この大きさの氷山が移動するのは稀(まれ)だという。英国南極地域観測所の氷河学者オリバー・マーシュさんは「これだけの規模の氷山は、より暖かい南極海で急速に溶け始めたとしても、かなりの時間残存する可能性がある。南アフリカに向かってかなり北上し、船舶の航行を妨げる可能性もある」と話した。
氷の厚さは約400メートルとみられる。氷山が動き出した理由について、マーシュさんは氷が薄くなったため、浮力を得たのではないかと推測した。
氷山は、再びサウスジョージア島に着底することもありえるという。そうなると、島に生息するアザラシやペンギン、海鳥の餌場を奪ってしまう可能性もあるという。