手塚治虫の名作漫画「ブラック・ジャック」で入手困難となっていた作品の〝断片〟が一冊の本にまとめられた。立東舎が11月20日に「ブラック・ジャック ミッシング・ピーシズ」(手塚治虫)を発売する。
1973年から1983年にかけて「週刊少年チャンピオン」に連載された「ブラック・ジャック」の中には、単行本化の際に手塚自身の手によって再構成や加筆が施された作品が存在する。同書では、特に大きな改変が見られるエピソードを中心に、オリジナル版と単行本版を比較して読めるような形で収録。特に「ストラディバリウス」と「緑柱石」はそれぞれのオリジナル版が初単行本化、他にもオープニングやエンディングの違いや、ネームとの比較を堪能できる作品を併録と、ファン垂涎の内容に仕上がった。さらに第1話「医者はどこだ!」は原画を4色で掲載、生々しい〝漫画の神様〟の筆使いを感じさせる。
広く知られた作品のオリジナル版だけではなく、手塚の編集術やクリエイティビティに触れることもできる、贅沢な作品集と言えそうだ。同社は「『ブラック・ジャック』50周年だからこそ実現したこの1冊、ぜひ堪能してください」と呼びかけた。
同所のコンテンツは次の通り。第1話「医者はどこだ!」原画、第55話「ストラディバリウス」雑誌版+単行本版、第67話「緑柱石(その1)」/第67話「緑柱石(その2)」(雑誌版)+「ふたりのピノコ」(本作は「緑柱石」を大幅に再編集したエピソード)、第101話「侵略者」雑誌版+未使用原稿、第104話「ピノコ西へいく」雑誌版+単行本版(差分)、第143話「空からきた子ども」雑誌版+単行本版(差分)、第145話「霊のいる風景」雑誌版+単行本版(差分)、第227話「刻印」雑誌版+単行本版(差分)、第232話「虚像」雑誌版+制作途中原稿(コピー)、最終話「人生という名のSL」単行本版+雑誌版(差分)+下描き原稿、雑誌版と単行本版の比較(「灰とダイヤモンド」「悲鳴」「ふたりの修二」「キモダメシ」)、「ブラック・ジャック アーカイブス」予告、週刊チャンピオン表紙原画、未使用原稿、アニメ『100万年地球の旅 バンダーブック』設定資料など、解題(濱田髙志)