スターダムの若手主体興行「NEW BLOOD 11」が29日、東京・品川インターシティホールで行われ、フューチャー王者の吏南は3度目の防衛に成功した。挑戦者の稲葉あずさを11分59秒、ピンクデビル(変形フェイスバスター)からの片エビ固めで3カウントを奪った。
16歳の王者が、15歳の挑戦を退けた。吏南は「稲葉あずさ、デビュー6カ月で15歳。バケモンっすよね、マジ」と相手をたたえ、「今日はベルトを懸けて闘ったから、次は一緒にババア狩りでもしますか」と共闘を呼びかけた。空手仕込みの打撃に苦しんだが、柔道技でいなしながらダメージを回避。カウンターのビッグブーツからの北斗原爆固めで流れをつかみ、最後はピンクデビルで決着をつけた。
吏南は「年下と戦ったことはあるけれど、チャンピオンの立場でタイトル戦ができるとは思っていなかった」と感慨に浸った。現在高校2年生で、デビューは小6。双子の妹の妃南、2つ上の羽南の3姉妹でスターダムに所属する。「他団体の若手レスラーをいつもチェックするんですけど、みんな目の前の試合に集中することで精いっぱい。女子プロレスの未来を引っ張ろうとしているのは私しかいない」と自負する。
2度目の防衛後、他団体からの挑戦を呼びかけ、稲葉あずさ戦を実現させた。今度は自ら他団体に乗り込む。「スターダムは他団体からの挑戦を待つ、というイメージがあるけれど、私はそれを壊したい。他団体にも乗り込んでいきたい」とキッパリ。稲葉とのタッグで女子プロレス界の活性化を促すつもりだ。
高校では学級委員長を務め「でも道は絶対に譲りません。なめられたらダメなんで」と話すが、これまで学業との両立のため、遠征への帯同を控えてきた。次回の「NEW BLOOD」は初の関西進出、11・17アゼリア大正ホール大会だ。リング上で「吏南必要とちゃいます?」と関西弁のイントネーションで宣言し、「関西出身の天咲(光由)?HANAKO?どっちでもいいよ。挑戦したかったら返事ください」と呼びかける姿には貫禄すら漂わせた。
16歳でデビュー5年。女子プロレス界に向ける視線の先は未来しかない。「若手の大会だけでなく、本線でももっとやりたいけど、このベルトを巻くからには若手の象徴になりたい。最多防衛記録をつくりたいですね」。昨年10月に陥落するまで姉の羽南が樹立した10回の防衛記録更新を誓った。