メキシコで公開「地球外生命体のミイラ」の正体 世界で物議も 識者から「偽造品」と懐疑的な声も

深月 ユリア 深月 ユリア

 メキシコ議会で9月12日に開催された未確認飛行物体(UFO)に関する初の公聴会で、メキシコ人のUFO研究家が「地球外生命体の遺体」とされる2つの物体を議会で披露して世界的な話題になった。果たしてその真相とは?ジャーナリストの深月ユリア氏が識者に見解を聞いた。

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 ロイター通信など複数の海外メディアによると、ジャーナリストでUFO関連情報を配信するユーチューバーのハイメ・マウサン氏が身長約60センチで、両手に3本の指がある小人のような遺体を公聴会で披露し、「地球外生命体である」と主張した。ミイラは2017年にペルーのナスカで発見され、メキシコ国立自治大学による検査結果から紀元前1000年頃のものだと推定されるという。

 マウサン氏は幾度か公聴会に出席していて、17年にも謎のミイラの映像を公開し、「地球外生命体」説を主張した。しかし、多くの研究者たちは「その映像は偽造の可能性が高い」と反論した。今回、公開されたミイラはX線の検査の結果、「骨が組み立てられた形跡はない」と発表されたが、果たして「地球外生命体」なのだろうか。

 UFOに詳しい作家の山口敏太郎氏は「『宇宙人の死体』と称するものは、過去に何度か出現している。ある宇宙人解剖ビデオの正体は障害を持って生まれた子供だった。つまり人間だったのだ。今回、取り上げられた死体(ミイラ)に関しても偽造品ではないか、という批判的な意見が上がっている」と懐疑的で、「他の動物の可能性も残されており、解析結果が出るのが楽しみだ」との見解を示した。

 一方、神奈川工科大学で物理学を研究していた元教授の男性は「広い宇宙に地球外生命体が存在する可能性の方が高いが、果たして、その姿は人類がSF映画で描写したようなものだろうか。環境も重力も異なる惑星で、地球の人類とそっくりの生命体に進化するか疑わしい」と指摘した。

 この元教授は「小人のような人間の可能性もあるだろう。例えば、中央アフリカには身長が低いピグミーという民族がいる。南米には多くの小人伝説があり、小人のミイラも発掘されている。ドイツの生物学者のクリスティアン・ベルクマンによると『寒い国の動物の方が体は大きい』そうだ。寒い国では、体温を維持するために体つきが大きくなるが、赤道付近では体が熱を蓄積しないよう、代謝速度が落ちるために身長が低くなるという。実際に寒い北欧の人は身長が高く、ピグミー族がいるのは暑い国だ。ただし、生物によっては逆に寒い地域の方が小さく、暑い地域の方が大きくなる種もあるようだ。恐竜が生息していた時代は現代より温暖だったという」と補足し、「いずれにしても、地球外生命体ではないだろう。ユーチューバーが金もうけのために詐欺をしようとしているのではないか」との私見を語った。

 やはり今回のミイラは「地球外生命体」以外の何者かということだろうか。米国でも幾度か公聴会が開催されていて、世界的にUFOやUAP(未確認航空現象)に関する注目が高まっているが、続報が楽しみである。

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