ギャル系ファッションに憧れていた中学2年生の心(ここ)。遠足で私服を披露するチャンスを得た心は、思い切って憧れのファッションに挑戦するが、未熟な着こなし方が災いし、同級生に笑われてしまう……。そんな繊細な気持ちや、孤独を愛する女性の思いを描いた電子書籍『ソリチュード ひとりを愛する人が集まるバー』に収録された『遠足で私服を笑われた話』──。
“一人でいることの自由さを歓迎する”意味の「ソリチュード」というタイトルが付けられたこの作品『ソリチュード ひとりを愛する人が集まるバー』(KADOKAWA)は、電子書籍で発売後、多くの読者から「共感した」「自分を大切にしたいと思った」と、数多くの称賛の声を集めた。この書籍に収録されたのが、学生時代の切なく淡い思い出を切り取った本作。SNSで公開されたこの作品は、またたく間に8万以上のインプレッションを獲得するほどの反響を得た。
この作品を描いたのは、『学校金融アサヒ』で「モーニング」(講談社)ちばてつや賞奨励賞を受賞後、マンガアプリ「GANMA!」にて『死逢わせサポートセンター』(全9巻)などを連載した、漫画家の中村あいさつさん(@n_aisatsu)。今回は、女性の生き方や美醜に触れた本作を描いたきっかけから、創作における背景について話を聞いた。
悩みの多くは、対人関係という思い
小学生の頃から絵を描くようになり、大学卒業後に「会社に入って毎日、人と一緒に働くのは無理だな」と感じ、本格的に漫画家を目指したという中村さん。新人漫画家の登竜門とも言える、ちばてつや賞受賞や、プロとして漫画連載を抱えるようになった。そうした創作の中で描くようになったのが『ソリチュード』だったという。本作では、ルックスや対人関係に関わる作品が収録されているが、その理由について中村さんは心理学者のアルフレッド・アドラーの言葉を用いながら、次のような話をしてくれた。
「ルックスについては自分が悩んできたことのひとつで、周囲からもよく悩みや苦悩を聞きますので、気になる事柄の一つです。ルックスは良くも悪くも個人を表す要素なので、自分で積極的に楽しむことができるポジティブな面もあれば、他者から傷つけられたりするネガティブな面を持つこともあると思っていて。人生を楽しくすごしていく上で、ハッピーな面とうまく付き合えていけたらなと思うので、漫画でもそういうことが描きたいと思っていました。『人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである』というアドラーの考え方に「確かにそうだなぁ」と」
また、『ソリチュード』の大きなテーマである「孤独を愛する」というメッセージを届けたい、その理由についても教えてくれた。
「多様性が受け入れられるようになってきた今、時間の使い方やコミュニティの形もさらに多様に自分らしいものを選べるようになればいいなと思っています。みなさんが人生をハッピーに自分らしくすごしていくお手伝いがこの漫画でできたら嬉しいです」
生き方が多様化する時代、中村さんのこの作品を読んで、強く背中を押される読者も少なくないだろう。今後の展開にも期待したい。
<中村あいさつさんInformation>
■『ソリチュード ひとりを愛する人が集まるバー』販売ページ
https://amzn.asia/d/gKZqS8x
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