「未亡人」という言葉の適切性がSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのはももさん(@momoteadqx)による
「高校生のときに当時60歳位の国語の先生が『未亡人ということばは差別用語ですよ。夫が亡くなったのに未だ亡くならずという意味ですから』と言っていたのが心に残っていて、使ったことはないけど、さっきふと調べたら放送禁止用語だった。1988年から差別用語。」
という投稿。
現在、正確には「放送禁止用語」という規定は存在しないが、多くの新聞社や放送局では未亡人という言葉を封建的な性差別に基づく用語として使用を避ける傾向がある。ももさんの投稿に寄せられた反響を見ると、多くの人に夫に先立たれた女性を未亡人と呼ぶことは失礼にあたるという認識は広まっているようだが、だとしたら夫を亡くした女性の呼称としてどのようなものが適切なのだろうか。
ももさんに話を聞いた。
ーー先生のお話を聞かれた際のご感想をお聞かせください。
もも:昔の女性の生きづらさを感じました。また普段使っている言葉や漢字の持つ意味に慎重になろうと思いました。
ーー「未亡人」という言葉にどのような印象を持たれますか?
もも:弱々しく儚げな印象を持ちます。
ーー「後家」「寡婦」など未亡人に代わる言葉はいくつかありますが、夫を亡くした人の呼称としてどのようなものが適切だと思われますか?
もも:男女ともに配偶者の死別を強調した呼称はなくてもいいと思います。もし呼称を使うなら「遺族」のように男女ともに同じ言葉を用いるのが適切ではないでしょうか。
ーー差別語、放送禁止用語という概念についてお考えをお聞かせください。
もも:差別心は無意識のうちに植えつけられるものが多いです。テレビの影響力は大きいので、誰かが傷ついたり不快な思いをしたり、固定概念を植え付ける言葉の使用を控えるのは適切だと思います。ただ、中には差別ととるには過剰なものもあるので注意が必要でしょう。また過去の作品について、言い換えると時代背景や作風にそぐわないものは、無理に言い換える必要はないと思います。
ーー投稿への反響へのご感想をお聞かせください。
もも:大半の人が「未亡人の文字の意味を考えたら他人に使うのは失礼だ」「使うのを控えよう」と肯定的に受け取り、当事者の方からも「他人から使われるのは嫌だ」と意見を聞けたのでよかったです。今回のことをきっかけに不用意な言葉で傷つく人が少しでも減るのならうれしいです。
また、リポストなどを読むと、未亡人という言葉の響きや、それから連想する色気のようなものを好む人が多いことがわかりました。BL界隈では男性にも未亡人という表現を使っていると知り驚きました。過去の有名作品では未亡人といえば、『めぞん一刻』を連想する人が多いみたいですね。私も読んでみたいと思いました。
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読者のみなさんは未亡人など封建的な性意識に基づく言葉を不用意に使用していないだろうか。表現の世界で許容される言葉と実社会で許容される言葉は異なるので、言葉遣いにはよくよく気を気をつけたいものだ。
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