7月1日に開館1周年を迎えた「みなとやま水族館」(兵庫・神戸市内)で暮らすコツメカワウソの兄弟・秀太朗と文太朗。同水族館の公式Twitter(@minatoyama_jp)にも度々登場し、その愛くるしい姿で反響を呼んでいる。
秀太朗と文太朗は、2020年9月28日に桂浜水族館(高知市内)で四つ子として誕生。担当スタッフの長村麻央さんは「同じ日・同じ環境で生まれ育っても性格は全く違う」と話す。兄・秀太朗はどっしりと肝の据わった性格。一方、弟・文太朗はいろんな物にちょっかいを出すいたずらっ子。「プールに入る」「トンネルを通る」といったことを先に習得したのは肝の据わった秀太朗で、ちょっとビビりな文太朗はその後ろをついていっていたという。
開館当初、初めてのことに試行錯誤していたのは、スタッフ側も同じ。カワウソの担当経験がある人材を探したが縁に恵まれず、経験者不在でオープン。カワウソを展示している施設で研修を受けた長村さんは「(魚類と比べて)体調管理やエサの頻度も全然違いますので」と今も試行錯誤の日々を送っている。
カワウソの1日は、とにかくよく食べ、よく寝て、よく遊ぶ。ご飯は午後1時ごろ、午後3時半ごろ、閉館(午後6時)後の三食で、3キロ強の体で1日300グラムほどを食べる。これは体重60キロの人間が毎日約6キロを平らげているようなもの。さらに、睡眠時間は15~17時間にもおよぶ。兄弟で体を寄せ合い、スヤスヤと眠る姿はとても愛らしい。そのぶん、起きている時間はとにかく動く。「飽きさせないために、自然に近いおもちゃ類は何がいいのか」と2頭の健康を第一に考えている。
遊びといえば、最近のブームは長村さんら担当スタッフの背中に乗ること。ここで、いたずらっ子の血が騒ぐのは文太朗だ。長村さんの髪ゴムに興味津々。急に動くと危険なため、長村さんが抵抗できないのをいいことに、5本指と歯を器用に使いこなして髪ゴムを泥棒。その犯行スピードは日々速まっているという。
奪ってしばらくは「取り返しに来い!」と言わんばかりの眼差しで見つめるというが、しばらく時間がたつと、先ほどまでの執着はどこへやら…。後日、プールの奥深くに沈む髪ゴムを発見するのだとか。もし、プールに沈む髪ゴムらしきものを発見したら、それは“小さな泥棒”の仕業かもしれない。
同水族館では、現在「1st Anniversary展」(8月31日まで)を開催中。その企画の一環として、オリジナルグッズを作成。飼育員がデザインした秀太朗と文太朗の「秀文ポーチ」と、同水族館オリジナル缶バッジを販売している。