グラミー賞が、AIのみで作られた作品を選考対象外とするガイドラインを発表した。主催のザ・レコーディング・アカデミーは、「創造に人間が全く関与していない曲」を全てのカテゴリーで賞の該当作品として認めないという。
一方でAIの部分的関与については考慮するものの、人間による「有意義な貢献」は必須条件であるとして、同アカデミーのCEO、ハーヴィー・メイソンJr.氏はこうコメントしている。「AIの声で歌われた曲やAIの楽器演奏については考慮します。しかしソングライティングに関連したカテゴリーでは、大部分は人間が作ったものでなければいけません。パフォーマンスのカテゴリーでも同じです。人間のパフォーマーのみがグラミーでは対象となります」「現時点で、我々はAIの音楽やコンテンツの入った作品を認めていますが、グラミーは適正なカテゴリーの中で創造的な貢献をして人間のクリエイターのみに授与されるべきものです」
更に、名誉ある最優秀アルバム賞の条件として、フィーチャーされたアーティスト、クレジットに入ったアーティスト、ソングライター、プロデューサーらがその作品全体の最低20%に貢献していることが新たに決まった。
先日にはポール・マッカートニーが最後のザ・ビートルズの曲でAIを使用しジョン・レノンと共演するなど、AI作成の音楽が台頭しているところだ。ポールは当時のデモ曲からAIを使いジョンのボーカルが抽出されたことを明かし、BBCラジオ番組『トゥデイ』で、「ちょうど完成したところで、年内にリリースされる予定さ」と話していた。曲名は明かされていないものの、『ナウ・アンド・ゼン』だと報じられている同曲は2021年のドキュメンタリー『ザ・ビートルズ:Get Back』と同じ手法を使ったそうだ。
一方でAI自体に関しては「ある種恐ろしい」としたものの「これはまだ先の事。どうなるか成り行きを見なきゃいけない段階さ」と続けたポール、同曲のリリース日の詳細についてはまだ発表されていない。