プロレスラーの矢口壹琅(いちろう)が新団体「怪獣プロレス」を設立し、会見には多彩なジャンルのエキスパートが一堂に会した。従来のプロレスにはない構想について、矢口に話を聞いた。
怪獣プロレスは矢口が運営会社の代表取締役に就任し、取締役には、元新日本プロレス・チーフレフェリーのミスター高橋(高橋輝男)氏、怪獣やUMA(未確認動物)の研究家でもある作家の山口敏太郎氏、サッカー・J3ヴァンラーレ八戸取締役や銚子電鉄相談役などを兼任する田代貢一郎氏が名を連ねた。また、怪獣造形作家・赤松和光氏がキャラクターデザインに加わる。
6日に都内で行われた会見では、高橋氏が「(自身の)これまでのノウハウをいかせるんじゃないか」と意欲を示し、山口氏は「宇宙怪獣、地球怪獣、未確認生物…あらゆる化け物が化け物界のナンバー1を決定する、それにあらがう我々人類代表がいるというような世界観を作っていきたい」と抱負を語った。
矢口は「世界で『KAIJU』という言葉が認知され、日本のプロレスは世界中で大変人気があります。日本が生んだ『怪獣』と日本スタイルの『プロレス』を融合させた、文字通りモンスターたちのバトルがリング上で繰り広げられる、そんな団体を目指します。今までにないエンターテインメントなプロレスを提供できると考えております」と宣言した。
ご当地プロレスの設立・運営にプロデューサーとして携わってきた矢口は、大仁田厚らと共闘したプロレスラーにして、米バークリー音楽大学ジャズ作曲科卒のミュージシャンでもあるという異色の経歴を持つ。
矢口は、よろず~ニュースの取材に対し、「私も今年でプロレス人生30周年を迎えるので、最後の挑戦を始めました。『怪獣プロレス』は私のプロレス、音楽、俳優、そして、それに関わる舞台演出のノウハウや人脈を使った新しいプロレス・エンターテインメントの形になります」という。以下は矢口との一問一答になる。
-具体的に、どのような形態で戦うのか。
「特撮映画の怪獣の着ぐるみは暑さと酸欠で1分以上動くことは難しいと聞いております。よって、怪獣映画で使う素材を吟味し、かつ、従来のマスク職人とコラボし、社内での会議を重ねて、全く新しいスタイルの、試合ができる怪獣のフルコスチュームを考案していきます。『モンスターバトル』という表現方法を使わせていただきましたが、テレビで昔放送していた『ウルトラファイト』やデパートの屋上での怪獣ショーとは全く違う形で、私やミスター高橋さんがきっちり技や動きを監修し、中身は本物のプロレスラーに入ってもらいますので、プロレスの技術は本物です」
-リング周辺の構想は。
「音楽ライブの演出方法や、映像コンテンツ制作にあたりCGと融合させたり、メタバースの世界も視野に入れております。また、会場に足を運んでいただけなければ手に入らないグッズなどでプレミア感も出しつつ、通販も大切に考えております。定番のTシャツやポートレートのほか、ミスター高橋さんや山口敏太郎さんもいらっしゃるので新刊の本や私が制作する怪獣テーマや効果音の音楽CD、オリジナルの怪獣ソフビなども海外で人気のグッズになると思います」
-プロレスの枠を超えてアピールしたいことは。
「今、都市伝説ブームであり、中でも宇宙人、UMAはとても人気があるジャンルでもあります。そして、ゴジラ生誕70周年を迎える来年にかけて、ますます怪獣ブームが世界中で巻き起こります。『KAIJU』という世界共通認識を持った言葉はパワーワードとしてコロナが明けた今後の社会に大きな原動力となることでしょう。日本では終戦後、力道山先生のプロレスが打ちひしがれた人々の心に勇気や元気の火を灯し、戦後の社会を大いに盛り上げました。プロレスの本来持っている力…『やられても何度でも立ち上がっていく姿勢』『絶対に諦めないネバーギブアップの心』が明日を生きる力となったのだと思います。プロレスを知らない方も、昔、見ていた方にも怪獣プロレスを通して前向きになっていただければと思います」
さらには「ただモンスターが暴れ回るのではなく、なぜモンスターと化して暴れているのか」といった悲哀もストーリーラインに織り込みたいという。旗揚げ戦は9月を予定。それに先がけ、8月2日に東京・上野不忍池水上野外音楽堂で『怪獣プロレス予告編』と題するイベントの開催が決定した。
矢口は「怪獣の『心の叫び』や『闘う姿』に哀愁を帯びたブルースを感じるのです。まさに『生きる』ということが『怪獣プロレス』なんじゃないかなと思っております。全く新しいプロレス・エンターテインメントをこの秋よりお見せしていきますので、楽しみにしていてください」と呼びかけた。