政女党代表権争い長期化も 千葉地裁の決定15日以降に 政党助成金3億3400万円も党口座凍結 党借金11億迫る危機

杉田 康人 杉田 康人
2人一緒に「ぶっ壊す」ポーズをとる大津綾香氏(左)と立花孝志氏=3月8日
2人一緒に「ぶっ壊す」ポーズをとる大津綾香氏(左)と立花孝志氏=3月8日

 政治家女子48党(旧NHK党)の代表権をめぐる争いが長期化しそうだ。斉藤健一郎参院議員(42)を党の代表とする立花孝志氏(55)と、自らが代表権を持つ党首だとする大津綾香氏(30)が真っ向対立。大津氏が千葉地裁に地位確認の仮処分を申し立て、4月27日に審尋が行われた。

 大津氏は第1回の審尋に現れなかった。立花氏は「仮処分は普通の訴訟ではなくて、急ぎでやるもの。通常は申立人本人が出ていかないということは考えられない。大津さんの申し立ては却下になる可能性が極めて高い」と指摘。5月2日にも裁判所の決定が下りるとの見通しだったが、大津氏側は同日、同地裁に反論書面を提出。立花氏側も12日までに再度、反論書面を提出する意向で、決定は15日以降となる可能性が高くなった。

 お家騒動の〝伏線〟となったのが、2月17日に国会内で行われた前参院議員のガーシー容疑者(51)が除名になった場合の対応を決める公開協議だ。立花氏は「ホリエモンの声を国会に届けて欲しい。斉藤くんを繰り上げ当選にしたいと決めている」と、2022年参院選比例代表でそれぞれ2位、3位の得票を集めていた山本太郎氏、党幹事長に就いていた黒川敦彦氏ではなく4位だった斉藤氏を後任に指名。黒川氏には月130万円の活動費を渡す条件を提示し、辞退させた。

 ガーシー容疑者は、議場での陳謝の場として指定されていた3月8日までに帰国せず、立花氏は党首を引責辞任。党名もNHK党から政治家女子48党に変更し、同党から統一地方選に立候補をしていた元子役タレントで建築事務所勤務の大津氏を新しい党首にするとした。

 立花氏は金庫番を担う党の事務局長に就任したが、黒川氏の政治団体「つばさの党」の政治資金パーティーを発表したことをきっかけに衝突した。3月24日に大津氏と黒川氏が、あたかも政治家女子48党主催の政治資金パーティーととれる開催発表やパーティーの内容に立花氏は支援者を巻き込み〝詐欺行為〟と反発。「党への借金返済を求め、取り付け騒ぎが起きている」と主張し、黒川氏を幹事長から解任したとした。

 3月29日の党臨時総会で、立花氏は党に約11億円の負債があるとし、残高は2400万円しかないと明かした。「すでにお金を返せない状況になっている。大津党首だったらお金を貸してくれない。代表権を返してもらわないと危ない」と大津氏に代表権を戻すよう求めたが、大津氏は受け入れなかった。

 3月31日には立花氏と黒川氏が国会内で約1時間に渡り舌戦を繰り広げた。立花氏は、黒川氏への月130万円渡すとした活動費が5年で約7800万円にのぼるとして「取り付け騒ぎは起こしにいったんです。黒川くんを辞めさせるために、わざと絵をかいてはめた?そうです」と、黒川氏を辞めさせるためのシナリオだったと告白した。

 大津氏は4月7日に開いた会見で「立花氏の人件費や資金の流れが不明瞭で、不正な使用がある可能性がある」として、党内に不明瞭な資金の流れがあるとして第三者委員会を立ち上げ弁護士とともに調査を始めるとした。党名義の銀行口座を、大津氏のものに名義変更。証拠保全のため調査が終わるまで保持し、現在は凍結されている。

 3月29日の党臨時総会での発言をもとに、党首辞任の意思を示したとの立花氏側の主張も「承認していない。一切その同意をしていない」と否定した。4月12日には立花氏側が開催した党の総会で、同月6日の党役員会で議決された大津氏の党首解任、除名を賛成多数で可決。党代表を斉藤氏に変更する議案も議決された。

 立花氏と大津氏の和解交渉も決裂。4月14日の定例会見で、立花氏は「どちらに代表権があるかって明確に裁判で争う状況になりました」と明かした。大津氏も同日「やっぱりここで負けるわけにはいかないんですよ。これで私が心がくじけて、降参って言うと思ったら本当に大間違いですよ。絶対に許さないから」と、徹底抗戦を宣言した。

 副党首で前衆院議員の丸山穂高氏(39)が、10日に国会内で党総会を開き、党員による議決で代表権をめぐる争いに決着をつける方針を示している。丸山氏は大津氏を招待し主張や説明を求めているが、大津氏は「浜田聡議員・丸山穂高氏らが煽動している5月の〝総会〟ですが、党首である私が招集しているものではないので無効です」とした。

 総務省は3月9日、政治資金規正法の規定に基づき、同党の代表者が立花氏から大津氏に代わったと公表している。4月7日には、立花氏側が党代表を斉藤氏とする変更届を総務省に提出。受理はされておらず、2人の党首が並び立つ異常事態となっている。

 政治家女子48党への2023年の政党助成金は3億3443万円。20日には8336万7500円が振り込まれたが、党の口座は凍結されたまま。4月14日の給料支払日に党職員やスタッフへの給料が支払われておらず、立花氏が肩代わりする非常事態が続いている。

 党には負債が11億円あるが、立花氏は「10・5億円の借金と、11・5億円の債権がある」と、次の衆院選で5%以上の得票があれば毎年2億円が入るとし、借入金以上の政党助成金が入ってくると主張している。

 2022年の参院選では〝ガーシー効果〟もあり、比例代表で2・4%の得票を得た政治家女子48党。「国会議員が1人以上所属し、前回の衆院選か前回・前々回の参院選のいずれかで得票率が2%以上」の交付要件を満たしているが、立花氏側に就く斉藤氏と浜田聡参院議員(45)が離党した場合、政治家女子48党は国政政党ではなくなる。

 党員による議決で代表権争いに決着をつけるとする10日の党総会を、無効だと主張する大津氏。一方、立花氏は千葉地裁で大津氏側の主張が認められれば、即時抗告するとした。政治家女子48党は党存続の危機が続いているが、着地点が見えないままでいる。

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