【漫画】「母さんといると私は私をつまんなくしちゃう」呪縛や生きづらさから抜け出そうとする女性を描く話題作

橋本 未来 橋本 未来

 美大受験に失敗し、母親が決めた会社で働きながら、母親が願う幸せを手に入れようと、半ばあきらめのような気持ちで人生を歩んでいた主人公の美優。そのドラマの中で、飲み会で知り合った男性との切ない出来事をきっかけに、母親の呪縛から逃れようと美優は大きな決断を下すことに。Twitterでも大きな話題をさらった狂おしい感動ストーリー。

 『美大に落ちた人の話』というタイトルでTwitterに投稿されたこの作品『ミューズの真髄』は、読者から「リアルで面白かった」や「こんな強い女性になりたい」と好評と博し、1万件を越えるブックマークがされるほどの話題を集めた。

 作者は、自身も美大を目指していたという漫画家の文野紋さん(@bnbnfumiya)。現在、『ミューズの真髄』全3巻が発売されるなど、続々と読者を増やし続けている本作について、創作のきっかけから読みどころについて文野さんに話を聞いた。また、本記事にはTwitterで配信された作品を全話掲載する。

「夢でうなされる」ほどの題材を描いてみよう

 中学3年生の頃から作品の投稿をはじめ、漫画をめざしていた文野さんが、美術の世界を志すようになったのは、高校生のとき。「漫画を初めて仕上げたとき、自分の漫画は背景が下手で形になっていないな、と思いました。ちょうど高校生になるタイミングで、長期休みにこっそりアルバイトができたので、そのお給料で絵画教室に通い始めたことが美術をめざすようになったきっかけです」と、文野さん。

 その後、美術大学への進学をあきらめ、フリーターになった頃に、イラストがTwitterでバズったことでイラストレーターや漫画家としての道を歩むことに。漫画家としてのデビュー作は、小学館の「月刊!スピリッツ」に掲載された『君の曖昧』という作品。「当時の私には、漫画の基本と自分の考え方の両方を抑えたものを作ることは難しかったので、一度割り切って、編集さんに教わった基本を抑えた(つもり)のものを『君の曖昧』として『月刊!スピリッツ』用に、自分の趣味の主人公が捻くれた性格を貫き通すものを『呪いの性春』や『神様の心臓』としてコミティア用に、分けて描くことにしました。どちらも、形にしてよかったなと思います」

 主人公の思いをストレートに表現した本作は、どのようなきっかけで誕生したのか。「受験から何年も経っても、漫画家として生計を立てるようになっても、予備校に通ったり受験に挑んだりする夢を見るんです。こんなに夢でうなされるほど思い入れのある題材なら描いた方がいいのかな、と思い描き始めました」と、文野さんの強い思いによって描かれたのが本作だという。

 文野さんは言う。「瀬野美優というダサくて、不器用で、凡人な主人公の人生をどうか一緒に見届けていただければと思います」。いつか果たしたい夢を持つ人や、あきらめようとしていた夢がある読者こそ、ぜひ読んでほしい作品だ。

<文野紋さんInformation>

■Twitter / https://onl.bz/D9kWXyR

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