イチロー氏、第2回WBC優勝に導いた決勝打 実は打席でビビっていた「敬遠だったら楽だな~」

松田 和城 松田 和城
観客に手を振るイチローさん=22年11月、高校野球女子選抜対KOBE CHIBEN
観客に手を振るイチローさん=22年11月、高校野球女子選抜対KOBE CHIBEN

 野球のWBC第1回大会(06年)、第2回大会(09年)に出場し、日本連覇の原動力となったイチロー氏(49)が、Youtubeの「パワプロ・プロスピ公式チャンネル」で公開されたインタビュー動画で、第2回WBC決勝の韓国戦で延長十回に放った決勝適時打を振り返った。

 九回に同点に追いつかれ、3-3で迎えた延長十回。一死一・三塁のチャンスに9番川崎宗則が打席に立った。ネクストバッターサークルで見守っていたイチロー氏は「少なくとも何球か見せてくれると思っていた。そしたら初球をショートフライで僕準備する時間なくて。そういうことも含めて流れが悪いなって思わされる打席だった」と当時の不安を吐露。「バッターボックスでならしながら、敬遠だったら楽だな~って思ってました」と明かした。

 思いは届かず、当時ヤクルトの守護神でもあった韓国の林昌勇(イム・チャンヨン)は勝負を選択した。イチロー氏は「あそこで願ったのは一球目だけボール来てくれって。そしたら僕が相当有利になる。頼むっ!て」。今度の願いは叶い、一球目は外れた。「それで一気に僕の中で流れが来ましたね。いつでもバットが振れる状態。その時は僕がこれを決めるって強いおもいになってた」とうなずいた。

 自信を取り戻し打席に立った2球目、一塁走者の岩村明憲が盗塁を成功。一塁が空いてしまったため敬遠が現実的な策となった。「スイッチ入ってるからいらんことしてほしくないんですよ。そこで岩村がダ~~!って。『マジかって』」と苦笑いを浮かべた。

 それでも韓国バッテリーは勝負を続行。イチローは、あわやワンバウンドのスライダーをファウルにした6球目が分岐点だったと語った。

 「結果ファウルだったんですけど、あの球もヒットにできる感触があった。ワンバウンドで当たりそうな球でしたけど、僕はあれをヒットにできるんですよ。ライト線に」とキッパリ。

 「あの球をファウルにされたら相手投手、捕手はたまらない。それも分かるので、僕はあのファウルで勝ったと思った。その後はどの球であってもストライクゾーンに来ればかなり高い確率でヒットが生まれるって感触を持っていました」。

 2ボール2ストライクからの8球目、真ん中に甘く入ってきた球をセンターへはじき返し2人が生還。日本中を沸かせた一打には濃密なドラマがあった。

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