大反響の「イデオン」超絶フィギュア ワンフェス出品終了に込めた造形者の決意

山本 鋼平 山本 鋼平
「伝説巨神イデオン」コスモ(左)とカーシャ=千葉・幕張
「伝説巨神イデオン」コスモ(左)とカーシャ=千葉・幕張

 衝撃展開が続いた1980年代の名作アニメ「伝説巨神イデオン」のフィギュアが12日、千葉・幕張メッセで開催されたフィギュアの展示会「ワンダーフェスティバル(ワンフェス)2023[冬]」に登場した。2019年夏から続き、反響が大きかった3作品の出品は、今回が最後だという。作者のまっつく氏は「新しい作品に取り組みたい」と決意を語った。

 最終決戦を前に唇を重ねようとするも、ヘルメットが邪魔だったコスモとカーシャ。凜とした姿が印象的なカララ・アジバ。強さを前面に出しながら劣等感と嫉妬心に悩んだハルル・アジバ。19年夏にハルル、20年冬にカララと姉妹で登場させ、20年夏に出品予定もコロナ禍のため作業が遅延していたコスモ&カーシャを22年夏に出品した。

 一般的な知名度なら主人公コスモとヒロイン・カーシャによる名シーン、物語の鍵を握るカララ、敵のハルルの順番になるはずだ。まっつく氏は2017年からフィギュア作家業に専念し、オリジナル作品を創作してきた。その中で、女性の髪の毛を意識して試作した際に「それが赤毛で、ハルルみたいだなと思いました。イデオンは子どもの頃大好きでした。突然降ってきたんです」と説明。SNSの反響にも背中を押され「イデオン」のハルルで、初めてオリジナル以外の制作に取り組んだ。

 湖川友謙氏がキャラクターデザインを務めたイデオン。フィギュア化する中で「湖川さんの画は3Dにしても破綻がなく、ケレン味もあって驚きと共にとても学びがありました」と、造形作家としても実りがあった。湖川氏がアニメーターとして原画で参加した「宇宙の騎士テッカマン」も、後にフィギュア製作に取り組んだ。

 まっつく氏は幼少時から学生時代まで造形に熱中した。卒業後はイラスト、ゲーム、CG製作などのクリエイター業に従事していたが、10年程前に友人から3Dプリンターを紹介され、フィギュア熱が再燃。勤務と両立させる苦労の末、作家業専念へとかじを切った。

 それだけに、イデオン3作品の出品を今回限りとする理由も前向きだった。「データを完成させてからコロナ禍を挟んで随分と経ってしまい、パーツ分割の方式や3Dプリント時に必要となるサポート材のつけ方が自分的にはもう古い。今回で一旦区切りをつけて、新作に持てる時間と技術を注ぎたい」と意気込んだ。イデオンからもベス、シェリル、姉妹の父ドバ・アジバらの登場が期待できそうだ。

 もともと版権が伴うフィギュア化には消極的だったが、イデオンを機会に「同人作品だけでなく版権元との仕事として、一般商品を手がけたい」と新たな目標ができた。個人では仕事に限界があると思い、2021年には会社法人を設立。自身のフィギュア熱を、もっと世に拡散したい。その契機となったイデオン3作品との節目。さらに夢と向き合っていく。

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