“昭和の香り漂う”びわこボート「ビナちゃんカレー」エビフライ7本入りでボリューム満点【勝負メシ1】

中江 寿 中江 寿
食べ応え十分なビナちゃんカレー
食べ応え十分なビナちゃんカレー

 ギャンブル場での楽しみのひとつに「グルメ」がある。予想が当たってもうかれば味も一層おいしく感じられ、負けが込んでいてもパワー補充でいただく。各場に名物があり、それぞれ個人的にお目当ての一品もあることだろう。「よろず〜ニュース」では、全国の公営レース場から、そんな『ギャンブル場めし』を紹介していく。

 滋賀県大津市「ボートレースびわこ」のイチオシは、4階レストラン「ボートクィーン」で1日約30食限定で提供される「ビナちゃんカレー」(880円・税込み)だ。エビフライが7本入り、ご飯も普通のお茶わんいっぱい約150グラムの3・8倍となる約570グラム。見た目は豪華でボリュームも満点だ。2代目店主・新庄博志さん(59)は「これが昭和の普通の量です。多いかなと思いますけど、注文された皆さん、ほぼ完食します」と語った。

 メニュー誕生は約20年前。同レース場のマスコットキャラクター・ビナちゃん、ビーナスちゃんを広めようとして開発した。エビフライの「ビ」、本数もビナちゃんの「ナ」から7本に決めた。「エビ7…、エビナナ…、エビナ…、ビナ…ですね」と笑う。

 冷凍エビフライを使用し、ルーは手作り。タマネギをベースに、香辛料とフルーツを煮詰めたものなどを入れている。あまり煮込みすぎないように、1時間半くらいで完成。近くでイタリアン・フレンチの店を経営している新庄さんだが、「真剣にレースを見ながら、食事をする」お客のため、スピード重視のメニューを意識している。

 いざ実食。少し甘めで、あとからほんのりと辛みが伝わってくる。エビフライは普通サイズで、食べ応えは十分。どこか懐かしい味がする。これで880円はお値打ちだ。物価高騰のあおりを受けているだけに、「いろいろ考えているんでいるんですけど、なかなか値上げしづらいですね」と苦笑いだった。

 アットホームな店内。長く勤めるスタッフが多く、最近退職した人は50年間働いていた。また、スタッフとお客の掛け合いも時折あるという。「ウチの従業員が、若いお客さんとコミュニケーションを取っているんですよ。『おばちゃーん、きょう来たで』『僕の顔を覚えといてくれた?』『舟券当たったで』とか。最近はコンビニとかお店のレジでの支払いもキャッシュレスの場合が多いし、最近は気楽に話せる所も少なくなったんでしょうね。不思議な空間になっています」。昭和にはよく見られた世代を超えての会話も、ここにはあった。

 この地には昔、ローラースケート場や水泳場がある小さなレジャー施設だった。その当時はレストハウスとして営業していたが、1952年にボートレースびわこが開設すると、そのまま移った。まさに同レース場の歴史とともに歩んでいる。「僕らも年を取るし、従業員さんも年を取る。そういう意味では、若い人らの発想の中でやらなきゃいけないところも出てくるでしょうし、将来、その辺のところをバランス良く組み立てていきたいですね」。昭和のいいところを残しながら、次の世代へ引き継いでいく。

 営業はレース開催中のみ。日本最大の淡水湖・琵琶湖の壮大な景色を前に迫力満点のレースを堪能しながら、昭和の雰囲気が漂う店で味わうのもいいのでは。他にも気になるメニューはあるが、また改めて紹介したい。

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