昨年4月の試合中に頚髄(けいずい)損傷を負ったプロレス団体「ゼロワン」の大谷晋二郎(50)がリハビリに専念している。東日本大震災の被災地での炊き出しや「いじめ撲滅興行」で共闘してきた「西口プロレス」のアントニオ小猪木(51)がよろず~ニュースの取材に対し、大谷へのメッセージと共に、昨年10月に死去したアントニオ猪木さん(享年79)、初代タイガーマスクら社会貢献活動に取り組むレスラーの思いを代弁した。
プロレスラーとして出発した新日本プロレス時代から闘魂の遺伝子を受け継ぐ大谷、形態模写という形で猪木イズムを体現してきた小猪木。出自は異なっても、猪木さんという師が共通する2人は、震災の被災地である岩手・大船渡での炊き出しボランティアで子どもたちと触れ合い、千葉・船橋で開催されたゼロワンと西口プロレスの「いじめ撲滅興行」で行動を共にした縁があった。
小猪木は「大谷選手は子どもたちにこう言っていました。『どんな困難が起きようと、つらい時は我々プロレスラーの試合を思い出してください。技を掛けられて苦しくても、つらくてもレスラーは耐えています。それに勝つことができれば、強くなった自分がそこにいます。そして仮に勝てなかったとしても、また立ち上がっていくことが大事なのです!』と。そして、大谷選手は会場で『自分に負けない。約束できる人!』と呼びかけると、子どもたちは『はーい!』と大きな返事をしていました」と振り返る。
大谷の「いじめ撲滅チャリティ興行」だけでなく、猪木さんの年末恒例だった新宿での路上生活者に対する「炊き出し」をサポート。また、児童養護施設の子どもたちへの「ランドセル基金」活動をしている初代タイガーマスクとも縁がある小猪木は「タイガーマスク基金パーティーのお手伝いをさせていただきました」という。
小猪木は当サイトに対して「こうした社会貢献を率先してやっている理由は、まずは人が好きだから。困っている人がいたら助ける。当たり前のこと。こんな自分でも社会の役に立てればと思う。初代タイガーマスクこと佐山サトルさんからは『ブレない心を持つ』ということを教えられました」と明かした。
そうした活動の一環として、昨年12月29日に静岡県伊東市で西口プロレスと女子プロレス団体「SEAdLINNNG(シードリング)」が参加したイベントに参加し、試合だけでなく、児童養護施設の子どもたちと「プロレスごっこ」で触れ合った。
小猪木は「過去にも震災の被災各地や身寄りのない子どもたちの施設にも行きました。老人ホーム、障害者施設、少年院への慰問、中学高校での講演、聾唖(ろうあ)プロレス参戦、西口プロレスでの募金活動も率先してやりました」と語り、そうした行動の核には、猪木さんの「相手の懐に飛び込む勇気」という言葉があったという。小猪木は「最近のTikTokの撮影で『たとえ、一人ぼっちになっても自分自身は裏切るな!』と若者にメッセージを送りました」と、信念を貫くことの大切さを訴えかけた。
大谷は昨年8月から都内のリハビリ専門病院に転院し、懸命のリハビリをつつけている。その姿は昨年12月28日に「反骨のプロレス魂~炎の戦士大谷晋二郎」と題したドキュメンタリー番組としてBSフジで放送された。番組を制作したのは後輩レスラーでもある、テレビプロデューサーの鈴木健三(48)。大谷は自身の公式ツイッターで「今の大谷先輩が少しでも画面にでる事がファンの皆さんに大きな勇気と生きる元気を与えます」と鈴木から伝えられたことを投稿(12月27日付)。大谷を支援する輪が広がっている。
放送翌日に静岡で施設の子どもたちと触れ合った小猪木は「大谷晋二郎さんの熱い思いは必ずファンに、子どもたちに、神様に届きます。アントニオ猪木さんから引き継いだ『闘魂』と『熱き情熱』で必ずリングに上がることを信じております。立ち上がれ!大谷晋二郎!待ってます!ダァーッ!」とエールを送った。