1986年から活動している藤子不二雄のファンサークル「ネオ・ユートピア」が30日、東京ビッグサイトで開催された世界最大の同人誌即売会「コミックマーケット101」に参加した。今年4月に88歳で死去した藤子不二雄Ⓐさんを悼むとともに、「一般からの問い合わせも届きますが、活動は来年以降も続きます」と活動継続を明言した。
今年8月に完成した最新会誌、藤子不二雄Ⓐ先生追悼号をはじめ、過去の会誌を今回のコミケでは頒布。同会には現在約200人が名を連ねるが、ある男性会員は「会誌はファン同士の交流だけでなく、Ⓐ先生の近況をお伝えする役割もありました。ですからとても寂しいです。また、今年はトキワ荘の永田竹丸先生、(「ドラえもんの発明教室」で有名な)しのだひでお先生もお亡くなりになり、本当に寂しいです」と語った。
同会では1998年から、藤子Ⓐさんの3月の誕生日に毎年プレゼント、手品やドッキリなどのイベントを企画してきた。今年は会員が全国各地で作成したフォトアルバムを贈った。コロナ禍前は会員の代表が直接、藤子Ⓐさんに贈り物を届け、交流の様子が会誌にも掲載されたこともあった。男性会員は「とても優しくて、気さくな先生でした」と残念そうに語った。
藤子・F・不二雄さんは1996年に死去しており、コンビともに他界。藤子Ⓐさんの近況を伝えるという柱がなくなり、今後の活動を巡り、話し合いの場も設けられた。そして「老後の楽しみに、死ぬまで続けたいと話す会員もおり、引き続き活動していくことになりました」と活動継続が決まった。来年にはトキワ荘メンバーが1963年に設立したアニメスタジオ「スタジオ・ゼロ」をテーマにした会誌新作が完成予定だという。
アニメの主演声優やスタッフ、過去のアシスタントへのインタビューなど、資料的価値の高さでも有名な同会誌。ファン魂はまだ絶えることはない。