ロシアが日本を攻撃する現実はあるのか「日中戦争が起きたなら」「北海道に軍備強化を」 識者が語る

深月 ユリア 深月 ユリア
プーチン大統領
プーチン大統領

 ロシアはウクライナ侵攻の先に何を見据えているのか。ジャーナリストの深月ユリア氏がウクライナ出身の国際政治学者であるアンドリー・グレンコ氏に見解を聞いた。

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 米誌「ニューズウィーク」日本版(ウェブニュース25日付)に、ロシア連邦保安庁の職員から「ロシアは、ウクライナへの大規模侵攻に着手する以前に日本を攻撃する準備を進めていた」という内部告発メールがあったとする記事が掲載されていた。差し迫った危機は本当にあり得るのだろうか…。筆者はウクライナの国際政治学者で「ロシアのウクライナ侵略で問われる日本の覚悟」などの著者、アンドリー・グレンコ氏にインタビューした。

 -この報道について。

 「可能性はあるかと思います。というのも、去年、ロシアは日本に対して外交的も圧力をかけ、国内で反日のプロパガンダを流布しました」

 -ロシアは外交面で日本に対して圧力をかけてきた。

 「去年5月28日、(北海道の)稚内沖で日本の漁船がロシアの国境警備局に拿捕(だほ)され、14人の乗組員が人質として留置されました。日本がロシアにおよそ900万円の罰金を支払うことで、ようやく乗組員が解放されました。7月26日、ロシアのミシュスチン首相が副首相と共に勝手に北方領土の択捉島に上陸しました。去年9月、ロシアのハバロフスクで国際会議が開催され、ハバロフスク裁判(第二次世界大戦後にソ連が旧日本軍に対して行った裁判)の正当性に関しての話し合いが行われました。ハバロフスク裁判は独裁国家の司法制度に基づき、密室での強要・拷問などを伴う尋問によって作られた調書を証拠として、審理もないまま事前に決めた判決を言い渡すデタラメな裁判です。無罪の被告人も有期刑の実刑判決を受け、シベリア抑留されました。会議では、このハバロフスク裁判が“素晴らしい”と賛美されたのです。また、プーチンは『日本が細菌兵器の実験を行っている』というフェイクニュースもロシア国内に流布しました」

 -ロシアが北海道に侵攻しようとする可能性はあるのか。

 「日米同盟がある以上、日本本土に上陸はしない気がします。(米国の)バイデンは条約を守る大統領です。北海道も本土なので、米軍が動くはずです。数多くある内の一つのシナリオとして考えてはいたけど、やはりアメリカと戦えば負けるので、断念したのかもしれませんね。推測ですが、プーチンの思考パターンとして、まずはウクライナなど旧ソ連圏、その後にポーランドやガザフスタンを侵略。それらの地域を占領したら次は日本を狙う、という手順かと思います。ただし、それらの手順をすっ飛ばして日本に攻めてくるケースは、中国が台湾を攻撃し、さらに尖閣諸島にも侵略し、日中戦争が起きた時ですね。その場合は、中国がロシアに援軍を要請する可能性があります」

 -日本はどうすべきか。

 「現在、日本は南東の防衛に力を入れていますが、北海道にも軍備強化し、北方領土の(に対する)自衛隊を増やすべきです。北海道にも米軍基地がありますが、実働部隊が少ないです。独裁国家には対話が通じないので、日本はウクライナ戦争から学び、備えるべきでしょう」

 プーチン大統領の目標は「ロシア帝国の再建」だという指摘もある。日本はウクライナから学び、独立国家として安全保障・シェルター整備についても早急に再考すべきではないか。

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