この10月、〝燃える闘魂〟アントニオ猪木さん(享年79)が1日に、ザ・ドリフターズの仲本工事さん(享年81)が19日に亡くなった。その両者と公私ともに交流のあったタレントで、お笑い芸人によるプロレス団体「西口プロレス」のアントニオ小猪木(51)が24日、よろずニュースの取材に対し、25日に東京・新宿FACEで開催される同団体の興行で、恩師2人への感謝の気持ちを込めたタイトルマッチでの闘魂ファイトを誓った。
小猪木は、仲本さんが死去する前の時点で当サイトに「猪木さんが亡くなられてから初となる西口プロレスの興行です。〝追悼〟などと銘打つことはしませんが、大切な大会にしたい」とした上で、自身とジャイアント小馬場の一騎打ちに込められた「意味」に言及していた。第5試合のメインイベントとなる西口プロレスヘビー級選手権試合で、王者の小猪木が3度目の防衛戦として小馬場の挑戦を受けるタイトルマッチだ。
小猪木は「猪木さんと馬場さんの対決はプロレスファンが望んだ究極のドリームマッチで、猪木さんも意欲を示しながら実現しなかったカード。猪木さんが『打倒ジャイアント馬場』を目標に掲げながら、実現せずにお二人とも亡くなられてしまったので、そういう思いを込めて、モノマネだからこそできるカードで戦いたいということです。猪木さんの思いに引っ張られるような形で組まれました」と説明した。
小馬場は身長175センチだが、小猪木が158センチなので17センチ差がある。馬場さんの現役時代は公称209センチで猪木さんが190センチということで19センチ。身長差という点に絞れば、ほぼ同じ条件となる。
ちなみに小猪木と小馬場は「ラヴ兄弟」という5人組コントグルーブに在籍していた。小馬場はラヴ・ヨシオ、小猪木はラヴ・ミツオという芸名で在籍し、1994年から2000年まで活動した。「5人組グループ」といえば、小猪木が芸人を志すきっかけとなり、目標として憧れてきたドリフターズに重なる。仲本さんは06年にテレビ番組での共演を機に小猪木と親しくなり、食事やゴルフ、自宅に泊めたこともあったという。小猪木の結婚式にも出席し、西口プロレスの会場を訪れるなど、小猪木を16年間にわたって応援してきた。その仲本さんの死が猪木さんと重なった。
小猪木は「仲本さんと最後に会ったのが亡くなる19日前でした。都内で行なわれたパーティーで、僕はMCを務め、仲本工事さんは乾杯の挨拶をしました」と明かす。その時は、いつもと変わらない元気な姿だったという。
小猪木は仲本さんの死去から一夜明けた20日に更新したブログで「会場のビルの下までお見送りして別れた。『工事さん、お疲れ様でした!お気を付けて!』(小猪木)、『どうもありがと〜』(仲本さん)が最後だった。『ドリフの中で僕がいちばん元気だから!』と言っていた工事さん。こんなお別れになるとは思わなかった」と今生の別れとなった日のやり取りをつづり、「『アントニオくん!』『アントニオ!』。工事さんはいつも柔らかく呼ぶ」と故人をしのんだ。
仲本さんと最後に会った日が死去から「19日前」の9月30日。その翌日には猪木さんが死去している。小猪木は「仲本工事さんと連絡交換したのは猪木さんの古希(70歳)のパーティーでした。ここでも自分の中で猪木さんと工事さんが関わっていたことが、お二人が亡くなられてから、ふと気がつきました」と振り返った。
「恩師2人が相次いで亡くなった10月」を締めくくる大会を翌日に控え、小猪木は「猪木さんへの思いを試合に注入しつつ、これまでリングサイド観戦しておられた仲本さんのことも思いながら、何かやれたらいいなと考えています、まだ、決めていませんが、試合はもちろんのこと、会場の流れの中で何らかの形で思いを伝えることができたら」と予告した。