現在放送されているNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の第30回「全成の確率」(8月7日放送)で、壮絶な最期が描かれた新納慎也演じる阿野全成の墓がある大泉寺(だいせんじ、静岡・沼津市)をこのほど、訪れた。住職お手製の「消しゴムはんこ」が添えられた御朱印、観光ガイドによる境内の案内などに注目しながら参拝した。
阿野全成は、源頼朝の異母弟。頼朝の死後、北条氏と比企氏の権力争いに巻き込まれ、源頼家への謀反の疑いがあるとして、捕縛された。1203年6月23日に、頼家の命を受けた八田知家によって殺害されたとされる。「鎌倉殿」では、呪文で雷鳴を起こしながら壮絶に散った。
大泉寺では、200種類以上の消しゴムはんこ御朱印を用意している。記者は、見開きで右ページに御本尊のもの、左ページに全成のイラストが描かれた御朱印をいただいた。見てみると、これは…全成を演じた俳優・新納慎也に似てないか?住職の小島健布さんに確認すると、やっぱり「少し似せました」とのこと。「鎌倉殿」放送前にデザインをし、自身のニュアンスも練り込まれている力作だった。全成の最期が描かれた放送回以降は、この“スペシャル御朱印”目当ての参拝客も増えたという。
ちなみに7月には、実衣(阿波局)役の宮澤エマとともに参拝に来てくれた新納へ、大泉寺から全成の御朱印、クリアファイルをプレゼントしており、〝本人公認〟と言ってもいい。
本堂では、ららぽーと沼津の「NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』展・沼津」で展示されていた、小栗旬、坂東彌十郎ら登場人物の消しゴムはんこが飾られている。撮影、SNSに投稿可能で、前住職の小島捷亮さんによる説明、ミニ法話と合わせて楽しめる。捷亮さんは「『鎌倉殿』放送後から、若い方が本当に増えた。うれしいです」と喜んだ。
土日、祝日では3~4人の観光ガイドが、無料で参拝客をおもてなし。それぞれの切り口で「鎌倉殿」の話も交えながら全成の墓や歴史について解説している。また、同寺では公暁の位牌があり、今後「鎌倉殿」で描かれるであろう「源実朝暗殺」の展望も語ってくれた。
よく考えると、寺の名前の「大泉」は頼朝を好演した大泉洋の名字と同じ。ひょっとすると、今回の大河ドラマとは、深い縁で結ばれているのかもしれない…。実際に見て回ってみると、大泉寺では住職、観光ガイドらスタッフが、来た人を「楽しませよう」という思いが伝わってくる。若者の参拝客が増えている理由は〝鎌倉殿効果〟だけでないと感じつつ、参拝を終えた。