今や、K-POP第4世代ガールズグループの代表格となったaespa(エスパ)が、もうすぐデビュー2周年を迎える。
デビューが発表された2年前は、所属事務所のSMエンターテインメント(以下、SM)が、所属アイドルの“疑惑”や“騒動”に包まれていた頃。そのため、彼女たちのデビューは「それらを“火消し”するためでは?」と囁かれていた。
2020年10月26日午前1時、SMは突如として、aespaの公式SNSアカウントとYouTubeチャンネルを設立、グループロゴやイメージ映像を公開した。
新人グループのデビューは、2016年のNCT(エヌシーティー)以来の約4年ぶり。ガールズグループでは、Red Velvet(レッドベルベット)以来、6年ぶりである。
予想外の発表に、K-POPファンは驚きを見せたが、韓国の大手3大事務所で、“アイドル名家”として定評があるSMからのデビューは、大きな話題となった。
しかし、そのニュースがいつも以上に注目を集めたのには、大きな理由があった。
数日前に韓国メディアが、SM所属の女性アイドルの“パワハラ疑惑”を一斉に報じたばかりだったからである。
現役トップアイドルのスキャンダルは、韓国だけではなく日本でも大きな波紋を呼び、世間を賑わせた。
そんな最中に、新人ガールズグループのデビューを予告。
いまだ騒動の収拾ができていないにも関わらず、発表を行ったSMに対して多くのK-POPファンからは「騒動を鎮めるために、デビューを早めたのでは?」という指摘が相次ぎ、一部では厳しい視線も向けられた。
そしてその数日後、また新たな騒動が勃発。今度は、韓国のオンラインコミュニティーで、男性アイドルのプライベートが暴露されたのだ。
元カノを名乗る人物が暴露した内容は、瞬く間にネットで拡散され、世界中のファンに衝撃を与えた。
所属アイドルの“パワハラ疑惑”や“女性問題”で、SMの周囲に不穏な空気が漂う中、aespaのデビュー日が近付く。
K-POPファンの間では「一連の騒動に終止符を打つのは、彼女たちの手にかかっている」とも言われた。
そしてaespaは、2020年11月17日、1stシングル「Black Mamba」でデビュー。
すると、たちまち彼女たちは、スーパールーキーとして華々しい活躍を見せる。
「Black Mamba」のMVは、24時間で2410万ビューを達成。当時、K-POP歌手のデビュー曲MVの中で、24時間の最高記録というタイトルを獲得した。
そして、デビューからわずか61日という短期間で、韓国地上波の音楽番組で1位を獲得するという快挙を成し遂げる。
aespaは、K-POPファンに“SMの新しい顔”として認められる存在になった。
2022年に入り、彼女たちは活躍の場を世界に広げる。
去る4月には、K-POPガールズグループとしては初めて、米国最大の野外音楽フェスティバル「コーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル」(Coachella Valley Music and Arts Festival)のメインステージに立った。
6月には、世界的な音楽レーベルであるワーナー・レコードと提携し、米国を含むグルーバル市場に本格的に進出。ロサンゼルスでショーケースを行うなど、現地ファンを熱狂させるパフォーマンスを披露した。
8月に発売した2ndミニアルバム「Girls」では、歴代K-POPガールズグループの最多アルバム販売枚数の新記録を打ち立てる。
また、同アルバムは、米国ビルボードのメインチャート“ビルボード200”で、なんと3位を記録。
これは、K-POP第4世代ガールズグループの中で最高の順位であり、K-POPガールズグループ史上3番目に“ビルボード200”のTOP3に名前を上げた。
さらには、アーティストの米国内の影響力と認知度を一目で示す“アーティスト100”チャートで3位、“トップアルバムセールス”、“トップカレントアルバムセールス”、“ワールドアルバム”など、3つのチャートの1位を含め、ビルボードの計10チャートに浮上する人気を見せつけた。
aespaは、デビュー時、相次ぐ騒動で危機的状況となっていたSMを打破しようと、K-POP界に送り込まれたと言われていた。
あれから2年、今や海外でも人気を得ており、ビルボードではメインチャートに名を連ね、現地ファンを虜にする活躍を見せている。
“SMの救世主”となったaespaは、もはや第4世代を代表するグループの地位にとどまらず、“K-POPの顔”として世界に存在感を示している。
(構成:酒井知亜)