シェイクスピアの左ジャブがマーク・トウェインに炸裂 文豪が拳で語る格闘ゲームがバグにも負けず再開

橋本 ダイスケ 橋本 ダイスケ

1991年に稼働開始し、社会的なブームを巻き起こした「ストリートファイターⅡ」から、昨今に至るまでゲームシーンの最前線として活発に新作が出続けている格闘ゲームの数々。

格闘ゲームの中でも多様なジャンルがあり、ロボット同士が戦うゲームから剣劇格闘、キャラクターを全面的に押し出してアニメ化などのマルチメディア展開を行う作品まで、様々な作品がある。格闘ゲームの作品としての人気はeスポーツとしての競技性以外にも、キャラクターや世界観も重要なファクターとなっているのだ。

そんな中、ある作品が颯爽と格闘ゲーム界に登場し、SNSで話題を呼んでいる。実在した文豪達がペンを捨て、何故か拳で語り合う格闘ゲーム「Write 'n' Fight」がそれだ。

H・P・ラブクラフトレフ・トルストイウィリアム・シェイクスピア芥川龍之介といった、名だたる文豪達が正々堂々と殴り合い、各々の作品に纏わる武器を振り回したり、謎の超能力で相手を圧倒する姿はあまりにも奇妙でシュール。

また、各文豪は特定の条件を満たす事により、自分の作品をモチーフとした「領域」に相手を引きずり込む事が出来、バトルを優位に進める事も可能だ。

さながら文豪達が能力バトルを行う漫画「文豪ストレイドッグス」を彷彿とさせるが、こちらはイケメンに描かれているアニメ調では無く、限りなく史実の本人を忠実に再現した顔なのでシュールさは倍増。

ゲーム自体もコマンド入力等の複雑な要素は無く、必殺技もボタン1つで出せる「グランブルーファンタジーバーサス」の様な、近年の格闘ゲームに近い、初心者でも始めやすい形。またオンライン対戦も実装しており、世界中の文豪達とその腕を競う事が出来るのだ。

「モータルコンバット」等の奇抜な格闘ゲームを好む層はもちろんの事、文豪同士が殴り合うという謎の世界観は一般のゲームユーザーからも非常に高い興味を得ている。

ところが、「Write 'n' Fight」は今年8月の発売直後にバグが多すぎてまともにプレイ出来ない事が発覚。発売を楽しみにしていたユーザーからは「ラウンド始まったらキャラが突然倒れたままビチビチ飛び跳ねて勝手に負けた」「画面端に相手を運んだらずっと浮いたままになった」「そもそも対戦が始まらない」「This is not game」等、悲しみの声が続出。

一方で、空中を浮遊し続ける芥川龍之介や、画面端でバグを利用してハメ行動をしてくるシェイクスピア等のとんでもプレイ動画が有志によって次々とSNS上に発信され、良くも悪くも話題と笑いをかっさらうというカオス状態となっていた。

開発元の AVOS'はバグの発覚後すぐに配信を停止。バグを修正して再販売するとして長らく情報の更新を停止していたが、ようやく長い沈黙を破り再パッケージ化の見通しがついたようだ。

AVOS'はユーザーに手厚いことで知られるが、特に日本のユーザーには日本語でリプライするなどきわめて親日家なサークル。今回、取材に対しても「このゲームを開発する前は北極圏で石油精製に関わる仕事をしていて、それ以外にも遺伝子工学のスタートアップ社員や養鶏場、金融ライターやブルースバンドのメンバー等、様々な事を経験したが、ゲームを作る事が一番楽しいんじゃないか?と思って、二人でプロジェクトを立ち上げたんだ。開発者の一人が日本語留学をした事があって、日本は大好きな国だよ」と語ってくれた。

バグ修正の進捗に関しても「現在も鋭意修正中なので、『Write 'n' Fight』を楽しみに待ってくれている皆さんの元に、いち早く届けれる様にしたい。」とのこと。

この記事の公開時点ではまだ再販売されていない「Write 'n' Fight」だが、停止前の販売価格は1500円程度で購入の敷居も高くは無い。近日配信再開という事なので気長に待つこととしよう。ご興味を持った方は配信が再開された際には是非プレイしていただきたい。

筆者も、H・P・ラブクラフトで世界中の文豪と雌雄を決する日が来ることを心待ちにしている。その際に要求されるPCスペックは思ったよりもハイスペックなので注意しておこう。

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