ハ・ジョンウ 連続殺人鬼を怪演!韓国サイコサスペンスの教科書

韓国で〝伝説の人〟となった金メダル選手、ソン・ギジョンを演じるハ・ジョンウ(写真中央)(画像出典:Netflixkr 公式Instagram)
韓国で〝伝説の人〟となった金メダル選手、ソン・ギジョンを演じるハ・ジョンウ(写真中央)(画像出典:Netflixkr 公式Instagram)

Netflixにて9月9日より配信開始となった、オリジナルシリーズ『ナルコの神(原題:スリナム)』が好調だ。韓国をはじめ、香港、シンガポール、ベトナムなどの4カ国で1位を獲得し、日本でもTOP3に入るなど、多くの視聴者の心を掴んでいる。

『ナルコの神』は、実在した韓国人麻薬王の逮捕劇を脚色し、製作された社会派エンターテインメント。

 南アメリカを舞台に、コカイン密輸の罪の濡れ衣を着せられた韓国人実業家イング(ハ・ジョンウ扮)が、自ら潜入捜査官となり麻薬密売組織に迫っていくスリリングなストーリーだ。

約2年半もの間、芸能活動を休止していたハ・ジョンウのカムバック作品とあって、画面からも彼の気迫が感じられる。そこで今回は、ハ・ジョンウのブレイクのきっかけとなった代表作、映画『チェイサー(原題:追撃者/2008)』を紹介したい。

『チェイサー』は、2004年にソウルで起きた『20人連続殺人事件』を題材とした、サイコサスペンスの傑作として名高い一作。元刑事とサイコパスの対決を、スピード感溢れる展開と容赦なき残忍な描写で、公開当時は韓国中を震撼させた。

ベテラン俳優のキム・ユンソクが、事件の謎を追う元刑事オム・ジュンホを演じ、ハ・ジョンウは女性の監禁と殺害を繰り返すサイコパス、チ・ヨンミンを演じた。

『チェイサー』以前から、映画を中心に活動してきたハ・ジョンウだったが、同作の怪演で本格的に大ブレイク。狂気さを表現した高い演技力は注目を集め、映画スターの道を駆け上ることに。

作品自体も、それまでの韓国映画のサスペンスとは一線を画す、残虐性とエンタメ性の見事な融合が話題を呼び、500万人を動員するメガヒットを記録。

その結果、“韓国のゴールデングローブ賞”とも呼ばれている『百想(ペクサン)芸術大賞』(2008年・第44回)で、栄えある大賞を受賞した。

この大ヒットを機に、韓国では後に続こうとサイコパスを描いた作品が次々と製作されるようになったと言われている。まさに本作は、その後の“韓国サスペンススリラーの教科書”となったわけである。

メガホンを取ったナ・ホンジ監督は、ヒットメーカーの仲間入りを果たし、その後もハ・ジョンウを主演に起用した『悲しき獣(原題:黄海/2010)』、『ナルコの神』ではチョン牧師を演じているファン・ジョンミンも出演する『哭声/コクソン(2016)』などの大ヒット作を生み出しており、新作の発表が期待されている。

出張マッサージ店を経営する、元刑事のジュンホ(キム・ユンソク扮)は、従業員の女性たちが相次いで失踪していることに、不審感を抱きながら過ごしていた。

そんなある日、送り出したばかりのミジン(ソ・ヨンヒ扮)と連絡が取れなくなり、ジュンホはミジンを呼び出した客の電話番号を調べる。すると、失踪した女性たちが最後に通話した相手の電話番号と、一致していることに気付く。

ミジンに危険が迫っていると察したジュンホは、元刑事の勘と人脈を頼りに、電話番号の主であるヨンミン(ハ・ジョンウ扮)を捕える決意をする。

追撃の末、ジュンホによって捉えられたヨンミンは警察に引き渡されるが、自身が失踪した女性たち全員を殺めた殺人鬼であるという告白を淡々と語り始めるのだった。

右往左往する警察を、弄ぶような発言と態度を続けるヨンミンを逮捕する証拠は何もない。果たして、ジュンホと警察は、ヨンミンが連続殺人鬼である証拠を見つけ出すことができるのか、そしてミジンはまだ生きているのか‥。

最後まで目が離せない、衝撃の展開の連続が堪能できる。

『ナルコの神』をはじめ、現在では様々な作品で“絶対にあきらめない男”を、演じることが似合う男となったハ・ジョンウ。

『チェイサー』は、スターダムを駆け上る前の作品ということもあり、熱血漢とは真逆の、サイコパスな熱演が楽しめる貴重な作品となっている。

公開から10年以上経った今も、色褪せないサイコサスペンスの名作『チェイサー』は、U-NEXT、TELASAで配信中だ。

(投稿:島田元)

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