レトロ自販機の聖地にレア機が続々登場!国内唯一の「シャープ生めん調理自動販売機」稼働

杉田 康人 杉田 康人
神奈川県相模原市の「中古タイヤ市場相模原店」で稼働する「シャープ生めん調理自動販売機」
神奈川県相模原市の「中古タイヤ市場相模原店」で稼働する「シャープ生めん調理自動販売機」

 レトロ自販機の聖地と言われる神奈川県相模原市のタイヤ販売店「中古タイヤ市場相模原店」に、日本唯一の稼働機となるシャープ製「シャープ生めん調理自動販売機」が6月に登場した。8月からは、初期型のカップヌードル自販機も稼働。〝国宝級〟の2台を含んだ106台のレトロ機は、あらゆる世代のハートをつかんでいる。

 70~80年代のドライブインを彩りながらも、幻の自販機となっていたシャープ製めん類自販機が令和に復活した。埼玉県内のゲームセンターで約11年前まで稼働が確認されながらも、閉店で国内から姿を消していた。「中古タイヤ市場相模原店」の運営会社社長・斉藤辰洋さん(50)が、休眠していたジャンク品を群馬県内で発掘。修理し、現在は山菜そばとうどん(ともに350円)の2品を販売している。

 昭和のテレビを連想させる、木目調のマシン。ボタンを押すと「調理中」「できあがり」のランプが点灯し、27秒でめんが出てくる。同機は1977年(昭和52)に製造開始。すでに製造中止となっており、代替できる部品を調達し稼働にこぎつけた。「給水弁が苦労しました。みんな〝懐かしい〟〝ありがとう!〟と言ってくれます」と反応は上々だ。

 青と黄色の原色がまばゆい初期型カップヌードル自販機も復活させた。セロハン紙を外したカップヌードルをセットすると、ホースが刺さってフタに穴が開き、お湯を注がれる仕組みは斬新だ。「稼働しているのは日本でここだけ。他に動いているところはない」と魂を吹き込んだ。

 自販機106台の1カ月の電気代は、約50万円。燃料価格の高騰で、2021年に比べ月あたり10万円上昇した。もうけはわずかだというが「レトロ自販機が好きというのもあるけど、なんとかしないと無くなっちゃうという思い」と、技術革新の歴史を紡いだ遺産の保存に使命感を燃やす。

 斉藤さんはいま、工作機械メーカーのツガミが昭和時代に製造していた「津上のべんとう自動販売機」を再び稼働させるべく奮闘中。国内で2カ所のみ稼働が確認されるレア機の修理に「まったく見当がつかない…」と話すが、やりがいは感じていそうだ。

 平日朝からひっきりなしに客が押し寄せ、日曜・祝日には1000人を超える。昔を懐かしむ世代から、Z世代と呼ばれる若者までがカレーやトースト、みそ汁、かき氷などの自販機に列をなす。ユーチューバーの〝ネタ〟にも多く使われ、斉藤さんは「いまの子たちには、逆に最新なんじゃないですかね」と、人気の理由を分析していた。

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