清水宏次朗が明かす「ビー・バップ」舞台裏 撮影中に脳しんとうや肩脱臼、宙づりのワイヤが切れた!

北村 泰介 北村 泰介
1980年代の映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズで主役コンビの「ヒロシ」を演じた清水宏次朗。57歳の今、当時を振り返った
1980年代の映画「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズで主役コンビの「ヒロシ」を演じた清水宏次朗。57歳の今、当時を振り返った

 1985年から88年にかけて公開された不良映画の金字塔「ビー・バップ・ハイスクール」シリーズ(全6作)で、主役コンビの「ヒロシ」を演じた清水宏次朗(57)が同作にオマージュをささげた新作映画「ビーバップのおっさん」(旭正嗣監督、全国順次公開中)で、「テル」役の白井光浩(54)とダブル主演している。「帰ってきたヒロシ」がよろず~ニュースの取材に対して、俳優としての原点となる「ビー・バップ」の舞台裏を明かした。

 仲村トオル(56)ふんする「トオル」とのツートップで「ヒロシ」を演じた清水だが、原作漫画を読んだことはなく、当初は学園ドラマの教師役だと思い込んでいたという。

 「当時のマネジャーから漫画原作の学園モノのオーディションで主役を取ってくるように言われ、完全に先生役だと思い込んで最後まで疑いもしなかった。僕は漫画を読むという習慣がなく、『ビー・バップ』の漫画も読んでいなかったので、当時は『金八先生』とか『ゆうひが丘の総理大臣』みたいな、いい先生が主役のドラマのイメージを持っていた。オーディション会場に不良たちがたくさんいるのを見ても、やんちゃな学校の先生役なんだと疑いもしなかった(笑)。オーディション用の台本を読んでも先生役と信じていた。受かってもまだ『先生のセリフないなぁー』って探していた。顔合わせの時、トオルと2人で東映(本社)の別室に通される廊下でプロデューサーの黒沢満さんに『僕、どの先生役なんですか?』って聞いたら、『お前、漫画見てないのか!』って言われて、黒沢さんのカバンから出てきた単行本の表紙のヒロシを示され、『お前はコッチ!』と言われ、初めて不良学生だと分かった」

 当時のツッパリ・ファッションとして、ヒロシの「短ラン」が注目された。

 「『ビー・バップ』の流行(はや)りと共に時代が短ランに変わっていきましたが、撮影当時流行っていたファッションは短ランではなく中ランでした。僕も私生活は中ランで、地元もまだ中ランでしたので、周りにおちょくられると思い、地元に帰れなかったですね。いつだったか祖母の具合が悪くなり、こそーっと帰ったことがあったんですが、案の定、地元の奴らに『ホテルの仕事が忙しいらしいな』とからかわれた。短ラン=ホテルマンのイメージが強かったですね」

 静岡県内の海沿いでのロケで喫煙中、警官に補導されそうになったことも。

 「トオルのシーンを撮影中の待ち時間だったので、海岸沿いのデッキチェアにヒロシの格好で座って、たばこを吸っていたら、通りかがりの制服のお巡りさんに『こらー、学生が何、たばこ吸ってんだ!』って怒られた。僕は20歳を越えていると事情説明しても、容姿が容姿だけに押し問答になって、しばらくして制作スタッフが気付いて説明して事なきを得ましたが、ものすごく真剣に怒られた」

 出演俳優が「ガチ不良」に絡まれることも多く、清水も「一時期はボディガードが10人ほど付いていた」という。そんな当時、ロケ中の拉致伝説もあった。

 「X(ある主要キャスト)は『ロケバスで寝てた』と否定していますが、私有地に建てたセットに集まってきた暴走族をXがからかって、さらわれたんじゃないかと…。プロデューサーとかは青くなって探したみたいですけど。実際のところ、真相はいまだに不明です」

 清水にとって最も体を張った作品は第4作「高校与太郎狂騒曲」だろう。高所恐怖症にもかかわらず、空に浮かぶ牛のバルーンにかじりつくシーンではワイヤーで宙づりに。また、車椅子に縛り付けられた状態で急勾配のボタ山の斜面から落とされた。完結編の撮影後、鬼の演出だった那須博之監督への〝卒業のお礼〟的に出演者が監督を海に落としたという逸話もある。

 「牛のバルーンに飛ばされた時は、特殊技術のスタッフに『重さに耐えられる』と説明されていた僕のワイヤーが地面に降りる数10センチの所で1本切れました。その後、僕がとった行動は皆さんのご想像にお任せします(笑)。ボタ山の頂上から車椅子に乗っけられて落とされ、3回目で肩を脱臼しましたが、救急車で病院に運ばれ治してもらい、痛み止めの注射を打ち、帰ったら鬼のように撮影は続行し、また頂上から落とされました。それに比べたら、今回の新作は、久しぶりに監督を海に落とさずにすんだ楽しい現場でした」

 第1作では撮影中に脳しんとうを3回起こしたという。「どのシーンも身体を張らないとできなかった。私生活がなくなった代償と裏腹に、ご褒美ももらったが、痛い思いもたくさんした。いまだに身体が不自由です」。実生活では近年、体調を崩しているが、「嫁や家族、周りの盟友たちに支えられて少しずつ回復しつつある。身体と相談しながら、俳優業も少しずつ感覚を取り戻しながらゆっくりと先に進んでいきたい」。今後も役者人生を模索していく。

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