服飾評論家で女優の市田ひろみさんが1日午後5時50分、急性呼吸不全のため、京都市内の病院で死去していたことが7日、分かった。90歳だった。
市田さんは1993年にサントリーの緑茶飲料のCMに出演。早口の京都弁でビシッとまくし立てるユーモラスな様子でお茶の間の人気者となった。同シリーズ飲料「のほほん茶」のCMで夫婦役として共演した将棋の内藤國雄九段がこの日、よろず~ニュースの取材に応じ、市田さんを追悼した。
内藤九段は市田さんとの出会いを「お茶のCMで有名になってらして、私も家で家族とみていて『こんなキツい人が女房になったら、尻に敷かれて大変やで』って冗談で笑ってたら、サントリーさんから電話が掛かってきて、夫婦役をやってくれないかと。驚きましたわ」と振り返った。
CMの撮影現場で初めて対面した際の印象を「CM通りのキツい方…というか、非常にシュッとして、しっかりされた方でした」と述懐。思い出話として「かつて『和製ソフィア・ローレン』と言われていらして、その名前はよくご本人からもうかがいましたね」と明かした。
柔和な笑顔で周囲を和ませる一方で、仕事に対しての厳しさも持ち合わせていたという。「市田さんが現場に入ると、雰囲気がピリッとする。そういうものをお持ちの方でした。そして頭脳明晰といいますか、すごく頭の良い方で、周囲にもご自身にも厳しい方だったと思います」と語った。
関係者によると、市田さんは昨年8月に京都市内の自宅でじゅうたんに足をつまづかせて股関節を骨折。3カ月ほど入院した。その後、12月からは施設に入り、リハビリに励んでいたが、今月1日の夕方、体調を壊し緊急入院。帰らぬ人となったという。