動画に特化したSNS「ティックトック(TikTok)」が若い世代を中心に普及している。ジャーナリストの深月ユリア氏が、この媒体で活躍する話題のティックトッカーを取材し、その素顔を紹介する。
◇ ◇ ◇
若者に大人気の配信動画アプリ「ティックトック」で、「金持ちの息子」キャラで人気を集めている麻生拓海(たくみ)さん。ティックトックとは中国のテクノロジー企業「バイトダンス社」が運営する動画のプラットフォーム(※共通の土台となる環境)で、短い動画の撮影・配信のみならず、BGMを組み合わせて動画編集もできる。
父親は、 東京美容外科の医院長でユーチューバーとしても活躍している麻生泰(とおる)さん。泰さんは現在、全国に約100院の系列医院を経営し、グループ年商は100億円以上という。
拓海さんは本物の「金持ちのお坊ちゃん」だが、実は 幼い頃に両親が離婚して大阪で母子家庭で育ち、学校でいじめにもあっていた苦労人でもある。巧海さんは容姿端麗、現在は日本大学の歯学部に通い、歯科医を目指していて成績も優秀だ。正統派イケメンキャラでも人気がでそうだが、動画ではあえて三枚目キャラを演じている。
「おやじ、おやじ~」と親子の掛け合いから始まり、父親に金をせびったり、嫌味ったらしくお金持ちアピールするキャラを作っているため、拓海さんの動画は炎上することもある。筆者は拓海さんにインタビューした。
ーなぜティックトックを始めたのですか?
「父がユーチューブなど動画を配信していて、父のアドバイスがきっかけです。しかし、父はバズってなくて、父がバズる方法を考えたかったからです。また、実は父が経営する会社の利益増加が緩やかになった時期があり、父の評価を上げたかったという目的もあります。人ってやはり2人いると比べるじゃないですか。なので、動画では敢えておバカキャラを演じることで、自分を下げて父をたてて『だめ息子と立派な父』という構図にしております。それに、イケメンキャラをやっている配信者ってたくさんいますから、被らない方がバズるかな、と考えました」
ー将来はどうなりたいですか?
「歯科医をやりながらユーチューバーになりたいです。ユーチューバーも父をたてるキャラは変わらずですが、最近、ちょっとおバカキャラに傾倒しすぎたので、まじめな話題も配信していきたいですね」
ーまじめな話題というと、現在の日本社会で改善すべき問題はありますか?
「もっと一人一人が自由に自己主張できる社会になって欲しいですね。日本人って、我慢してまで自分をおさえて、人に合わせる方多いじゃないですか。例えば、屋外でマスクを外していいことになっているので、周りが外さないから、この猛暑でも屋外でもマスクをしたり」
ーところで、好きな女性のタイプは?
「今まで『お金持ちの息子』と見られて内面を見ずにお金目当てに近付いてくる女性ばかりでした(笑)。肩書きや収入より、内面を見てくれる女性が良いですね」
拓海さんの実際の素顔は、動画での三枚目キャラとは異なり、父親思いの謙遜的なまじめな青年だった。今後の拓海さんのさらなる活躍に期待したい。